うたたねシアター

「ラブドガン」(2004/06/20 テーマ:CRAZY)

クレイジーなファンタジー映画が生まれました。「ラブドガン」。両親の無理心中により一人残され、死んだ父の愛人に憎しみを向ける少女・観幸(宮崎あおい)は、幼い頃に両親を殺された天才殺し屋・葉山田(永瀬正敏)と出会います。実は組長を殺して逃亡中だった葉山田は、葉山田の育ての親である凄腕の殺し屋・丸山(岸辺一徳)と、若いチンピラ・種田(新井浩文)に追われていたのです。そして対決の時...。正直、チンピラ映画だと思ってました。それが全然違うの。感情がこもってなければ地金の色。悲しい気持ちで撃った弾は青。憎しみの込められた弾は黒。そして幻の赤い銃弾は、どんな気持ちで撃てば現れるのか...。撃つ人間の感情によって色を変える銃弾が鍵を握る、ロード・オブ・ザ・リングもびっくりの「生と死」「愛」といった普遍的かつ壮大なテーマをかかげる映画です!役者も皆クレイジーでしょ?本気の役者揃いです。表情ひとつひとつがクレイジーともいうべき本物です。永瀬の背負い込んだ過去に苦悩する姿も素晴らしいし、一徳のひょうひょうとした年寄りぶりもたまりません!やるやると噂には聴いていた、宮崎あおいちゃんの自己破壊してしまいそうな精神状態がギリギリの演技や、徐々に現実と向かい合おうとしていく凛とした姿も美しい。でもね、いちばん度胆を抜かれたのは、医者として登場する野村宏伸!私の中では「好青年といえばこの人」みたいなとこがあったわけですよ。で、白衣を着て登場した時は、あぁ当たり役だわな、と思ったんです。それが!クレイジーなんですよ、この医者が。身の毛もよだつとはこのことだと思いました。また、前情報なしに見たんですけど、音楽がね、スリリングでもの哀しくていいんですよ。そしたらdownyの青木ロビンが、新たに結成したバンドDhalによるものだとか!あぁ、そうでしたか、と納得。サウンドトラックに新曲も加えたアルバム「cacophony」も、映画に寄り添うようないいCDですよ。