長谷寺
某日
仁王門をくぐって
長い長い登廊をゆっくりと上がる
紀貫之の「人はいさ 心も知らず 古里は 花ぞ昔の 香ににほひける」の梅や
源氏物語玉鬘の「二もとの杉」を目の前にして
うそみたいな気分になった。
すごく大きな時間の流れの中にいるのだという妙な感覚。
薬師寺に行ったときに感じたソレに似てる。
そう、なぜ、宇治でドキドキしたかというと、
その数日前に、ここ長谷寺でも源氏物語を感じていたから。
うーん。なにかあるかもしれない。ないかもしれない。
でも源氏物語が読みたい。
おさらいしたい。わすれちゃった。
何か見つかるかもしれない、今年後半に向けて。
本堂の舞台からの眺めも、ちょっと現実感なくて、ありがたい気分になった。
舞台中央からお堂の中を見ると、十一面観世音菩薩像が見事に納まっていて、
そのきっちり感の気持ちのよいこと!「おさまりがいい」っていうのは、まさにこういうことか、と!
お天気が怪しかったのに、なぜ長谷寺に参ったのかというと、
梅雨だからこそのものに触れたかったから。
梅雨らしく、地面が濡れていて、
こっくりとした背景に、あじさいが映えて、美しかった。
そして帰り道には、ずいぶんしっかりした雨にふられたのでした。
三輪そうめん、柿の葉寿司も食べてもらえて、
なんか奈良生まれとしては、任務完了できたような気分。
よい気分。
梅雨も悪くないでしょう?