うたたねシアター

「スラムドッグ$ミリオネア」(2009/05/20 テーマ:smart)

「スラムドッグ$ミリオネア」をみました。今さらなので、あえて内容の説明は省きますが、私、クイズ番組が軸になっているシニカルな映画だと誤解していたのだけど、全く違う!お恥ずかしい!できるだけ大きな音で、大きな画面で見るべき映画だと思います!さすがダニーボイル監督。トレインスポッティング同様、スピード感あふれる冒頭で、もうノックダウンです。そして、やっぱり映像と音楽の合わせ方も素晴らしいです!監督は極端な人生を描きたいと、ずっと思っているのだとか。そして、特別なのはその登場人物だけではない、見ている一人一人が特別なのだと伝えたいと。
インドのスラム街に生まれた青年・ジャマールが、クイズ番組で富豪になるっていうのも、まぁ極端だけど、それよりも何より、そこに生まれてしまったがための様々な出来事に引き裂かれながらも、初恋の少女・ラティカを求め続けるという、極端なラブストーリーの部分が私は印象的でした。ジャマールと兄のサリームの身の上に、とにかく逃れる事ができないようなひどい出来事が起こり続けるのです。もちろん微笑ましい思い出もあるけれど...。そんなひとつひとつの経験が、映画のラストシーンへ、クイズのラスト問題へと繋がって行くんです。ファイナルアンサーは、机の前ではなく、生き抜いてきた一瞬一瞬の中から導きだされるのです。これ以上ないくらいピュアで、これ以上ないくらい悲しくて、これ以上ないくらいまばゆい光が差す映画でした。
映画のような極端な出来事はそうそう起こるもんじゃないかもしれません。だけど、自分にとっての大事件は時々ありますよね?重みは同じ。そしてそんな経験から得る物は必ずあるはず。見えない誰かからのテストであり、贈り物かもしれません。長い目で見た時にファイナルアンサーとして何を求めるか、そのためには、何がsmart=利口か。本当に自分が欲しいものは何だろうか。そんなことを思いました。