うたたねシアター

「お父さんのバックドロップ」(2004/11/20 テーマ:ナチュラル)

何度も映画化の話が出ては消え...をくり返していた、中島らもさんの小説「お父さんのバックドロップ」が映画化されました。らもさん自身チラッと登場してるんだけど、完成したのを見て御本人も「滂沱」の涙を流したそうですよ。とはいえ悲しいんじゃなくて、泣き笑いってとこかしら。安心して下さい、ハッピーエンドです!舞台は80年代の大阪。東京から引っ越して来た中年プロレスラー・下田牛之助と小学生の息子・一雄の父子が主人公。根からの大阪人のおじいちゃんと3人で狭いアパートでの生活が始まるんだけど、このおじいちゃん役にチャンバラトリオの南方英二師匠が見事にハマっていて、大いに笑わせてくれます。さすがだなぁと思いますね。牛之助と昔なじみの焼肉屋のおかん役・南果歩さんも自然すぎる。何より子供同士が会話で自然にツッコミ入れてるとこなんてそうそうこの感じ!って嬉しくなりました。いつ覚えるのか子供も大人もホントに普通に毎日がコントなんですよね、大阪の私達って。生活と笑いが密着してる。いつのまにか自分のコンプレックスを笑いに変える術を覚えたり、その姿がまたちょっぴり切なかったり。人生にたっぷりの笑いと少しの涙。...ハッ!これこそまさに浪花節、と同時に、まるでイタリア映画みたいじゃないの!?監督の李闘士男さんはイタリア映画に憧れていて、面白くて活気があって少し切ない、そういう世界をこの映画で作り出したかったんですって!なるほど!でもこれだけコテコテでありながら後味スッキリ、やり過ぎ感がなく自然だと思えるのは、スネオへアーがこの映画のために書き下ろした新曲もまた良かったのではないかしら。どうしてもお父さんの事を好きになれなかった子供時代の事を、大人になった一雄が思い出している歌なのかなぁって、勝手に想像して爽やかな気持ちになってます。この映画のおかげでますます大阪が好きになっちゃった。らもさんフォーエバー(涙&笑)!!