ぶつぶつ日記

こまきっぷ十勝〜大樹町と帯広_その1

この旅の目的は、大樹町に去年の秋オープンした「MEMU EARTH HOTEL」に泊まること。そこで、日の出を見ること。あとは本能に頼る。流れに身をまかせる。一人旅の醍醐味を満喫する。ただし安全第一で。

大樹町へは、関空から釧路空港に飛んで(peachさまさまの功績は大きい!)、レンタカーで2時間ほど海岸近くを西へ西へ。途中から雨が降り出して、ちょっとみぞれっぽくなったり、雨に戻ったり、とにかく運転リハビリ中なものでドキドキしながら、ホテルに到着。
まず私を迎えてくれたのが、フロントでもあり、ロビーでもあり、レストランでもあり、暖炉もハンモックもあって、興味深いお土産も並ぶ「スタジオメム」。馬舎をリノベーションした、広い広い夢の基地みたいな建物。あったかいハーブティでお出迎えしてもらって、ほんとにホッとしました。で、落ち着いたら、写真で見ていた、あのメムスタジオにいる感動に襲われます。静かに感動!かっこいいいいいいい!!




















◎実験住宅

MEMU EARTH HOTELの56,000坪もの敷地には、寒冷地で自然のエネルギーを使いながら暮らすための実験住宅がたくさん建っています。そのうち宿泊棟「メーム」は隈研吾さんがアイヌの家をモチーフに設計したもの。グラスファイバーが織り込まれた布と、綿の層、その内側にもう1枚同じ布という3層の壁になっていて、びっくりするのは布はマジックテープで止めてあるだけなので、チェックインの時に、ベリベリめくって構造を見せてくれた。巨大なテントのようだけど、凄く快適。陽に照らされて室温が保たれ、かつ、真っ白な布が自然な光を発するので、昼と夜どちらのムードも素敵。そして過不足のない備品も全部気が効いてる。いちいち手に取りたくなるような良いものばかり。オリジナルのパジャマとバスタオルを買ってしまったし。なんとdigmeout第1期メンバー村上周のタペストリーやラグマットも!おお!




























◎あけましておめでとう

この旅、いちばん楽しみにしていた、日の出。そのために、夜明け前に海辺までサイクリング。起きてびっくりした「青い!」声に出てしまう。偶然の満月。そうか!前夜は、みぞれが降って星も月も見えなかったけど、この姿を見せるために今まで隠れてくれていたんだと思う。感動で冷静にカメラの操作が出来ない。

少し残る雪を月が青く照らしてる、長く続く緩やかな一本道。下り坂の向こうが白くなり始めてて、それが空なのか海なのか、なんだか分からない。背中に満月を感じながら、オレンジになり始める東の空にいそぐ。漕いでも漕いでもまだ遠い。広い!あっというまに朝になるのは知っていたので、焦る。

姿を現す太陽にばかり憧れていたんだけど、地平へと帰っていく月が、こんなに美しいなんて、今まで考えたこともなかったな。




















そして浜辺で太陽と月が見事にバトンタッチ。荒れる海の上に眩しい朝日。波しぶきを染める。強い風の音、激しい波の音。でもいつまでも動けない光景。元旦にも感じたことない体の奥からの、あけましておめでとうって気持ち。まっさら。ちょっと泣きました。





帰って朝風呂を。第7回国際大学建築コンペの作品「コロボックルネスト」。こじんまりとした、すり鉢状の白い壁に包まれた露天風呂。星空も素敵だと思うけど、あいにくの天気だったこともあり、朝が素晴らしかった!

湯船に浸かって見上げると、白い壁に切り取られた薄い水色の空。そこに、クリーム色のお腹を見せて、白鳥の群れが飛んでいく。Vの字に隊列を組んで、クァコ、クァコて鳴いて。
朝って、毎日まっさらなんやと思った。大阪で暮らしてると見えないけど、見えないだけで毎日同じように、新しい朝が来てる。毎日新しい自分で生きていきたい。でも大阪で忙しく暮らしてると忘れちゃうんだよね。だからまた定期的に、自然の中に自分を放り込まないとあかんのよね。























◎春の気配

雪がないとか、夏が気持ちいいとか、色々、この場所はこの季節が!なんて勝手に言うて、自然に謝りたいきもち。ベストシーズンとか宣伝マンが勝手に考えたものかも?どの季節にも、その季節だけの良さが自然にはあるよね。

渡り鳥もたくさん。これもこの季節だけ。そう、真っ白じゃなくクリーム色の白鳥が、とにかくずっとたくさん飛び回ってた。そして相変わらず変な鳴き声で畑に降りてきて、何かをついばんでた。もうすぐ旅立ちのとき。




そうだ、渡り鳥といえば、丹頂鶴も見れたのです。空港からの道中、普通に畑に降りてきてた丹頂鶴の群に遭遇。しかもほんまに求婚ダンスしてる!まさかと思ったけど本物でした。びっくり。丹頂鶴って、こんなに普通におるの?ですよね。(Instagramにはちょっとだけ動画もあるので、よければ「#こまきっぷ」を。)











チェックアウトの後は、乗馬体験ができる幕別町の農場へ連れて行ってもらった。初めて馬に乗った、というより、馬が私を乗せてくれた。林を抜けて丘に登った。途中、道草して生えてる笹をむしゃむしゃ可愛い良い子。馬に乗って、少し高いところから見た風景。素晴らしかったな。馬の視点からでも発見できる、枯れた色の地面に芽吹いてた柔らかな淡い黄緑色。ふきのとうでした。北海道でも春の気配。なんか泣きたくなっちゃった。





















→その2へ続く