ぶつぶつ日記

この日々のスケッチ、その2

音楽だけじゃない。オンラインでお芝居も観た。
ハマってしまったのが「泊まれる演劇 in your room」です。以前土井印で取材させてもらった、とてもユニークで超素敵なホテル「Hotel,SHE」。そもそもこのホテル行われる予定だった、宿泊者がホテル内を回遊しながら観劇する”イマーシブシアター”をオンラインで、ZOOMを使って開催しようというもの。
私はイマーシブシアター自体は、ずいぶん前、子供鉅人の作品を観劇したことがあって、あの時は興奮したなぁ。八軒屋浜から船に乗りこんで、大川沿いのビルも使う、いつもの街が違う景色に見えるものだった。そういうのをホテルで開催するのは、なんとなくわかる。でもオンラインで、どうやって没入するの?回遊するの?案の定、チケットがなかなか取れず、発売時間にPC前に待機してやっとゲットできたのが「Room101」という作品の再演。






チケットが郵送されてきた時から、すでに始まっている感じ。このお話の舞台は『MOTEL ANEMONE』というホテルのロビーで開催される写真展らしい。なるほど、チケット購入完了メールが『MOTEL ANEMONE』の宿泊予約完了メールとして送られてきたのはそういうことだったのかと。メールが来たときは間違いかと思ってちょっと不安になったけど、凝ってる。お芝居は、謎解きものだったのだけど、想像以上に立体的で大興奮して、なんで友達を誘わなかったのかと後悔した。見た人とすぐ喋りたい!何度も夜中に一人、鳥肌がたった。
で、癖になって、もうひとつ見た「ANOTHER DOOR」は、6つの部屋を行き来するラブストーリー?どうやって参加するの?でしょ。それが、ほんまにZoomを熟知してるなと思う仕掛けというか、ストーリーというか。ありそうだもん、ほんまにこういうの。お芝居を見ている感覚と、Zoom飲み会で恋バナしてるみたいな感覚と、どっちも味わえたし、見るときによって多分ちょっと違うストーリーになりそう。人の感覚も利用してるエンタメ。恋バナってそういうものだし。どっちから聞くかで同じ出来事も印象が違うでしょ?よく出来てる。ほんと。また見たいなぁ。謎解きもまたやってほしい。「ANOTHER DOOR」は8/23まで演っているし公演数も多いので、まだ間に合うんじゃないかな。






そして、劇団ノーミーツ。企画から稽古、本番まで、役者もスタッフも一度も会わないで上演されるという。「むこうのくに」という作品だったんだけど、そんな劇団だからこその内容。舞台は2026年、オンラインの仮想コミュニティ「ヘルバチカ」。友達ってなんだろね?顔を知らなくても会えなくても友情は成立する?知らない人へのSNSなどオンラインでの暴言どうなの?(土井は顔も知らない同士だからこそ丁寧に接することが大切と思うよ。)考えさせられる内容だった。学生の人たちは特にそうなんじゃないかな。
前説にハイテンションなメガネ女子が登場して「??????」ってなるんだけど、本編が始まるとすぐに「なるほど!」ってなります。観客がヘルバチカのアカウントとして扱われるので、画面の作りが凝ってました。140分超えの超大作。あの画面の切り替えとか生で演ってるのかと思うで、ふげ〜っ。大変!

ヨーロッパ企画のyoutube企画、生配信劇シリーズ「京都妖気保安協会」が始まった!嬉しい〜。1作目は走る嵐電の車内からの生配信。短い中にヨーロッパ企画らしさが凝縮されていて、すごいなぁって思った。今上映中の映画「ドロステのはてで僕ら」よろしく、ワンカメで回しっぱなしというのも、すごい。ちょっと良い話で終わるとこも。見終わったた嵐電に乗りたくなっちゃうとこも。これはシリーズなので、京都のどこからか、また生配信され、最終回は劇場版として、9/26(土)京都府立文化芸術会館から、無観客上演&有料生配信を予定しているんだとか。ドロステの話をインタビューした時、考えてることはあるっておっしゃっていたけど、これだったのか〜〜〜〜!やっぱりヨーロッパ企画好きや。にしても、これ見てる人にとっては短いお芝居だけど、演る人にとっては長いやろうなぁ。劇場で演じるのとは違うよね。電車の運行は電車任せやもんね。ひえ〜。想像したら痺れる。ヨーロッパ企画のホームページのリレー日記を読むと、裏側を知れて痺れます!






演劇も音楽も、模索が続いていて、それぞれの良いところが活かせる表現活動が始まってる。
一方で、リアルなイベントも少しづつ開催されようとしている。
過去のライブ映像をライブハウスの音響で楽しもうという「ライブイノベーション」はzeppなんばで。サマソニの映像を見たのだけど、ギターの歪みより、ドラムの低音より、ハートをくすぐる甘い歌声より、何よりスタジアムのお客さんの大歓声に包まれて感動!よく考えたらサマソニっていつもスクリーン見てるよな〜と気付いたり。いろいろ感じる自分自身が面白い。(コロナ感染者数増加の傾向を鑑み、スケジュールが延期になっていますので、まだ間に合うかも。)










野外イベントも開催された。私は、「たとえばボクが踊ったら、presents Chillax」「SLOW DAYS」に、お邪魔した。
久しぶりに浴びる大きな音に、耳がこそばゆくなったり、胸がいっぱいになったり。やっとのことで踏み出せた1歩が、尊いって思った。きっと演者もお客さんもスタッフもみんな同じ気持ちだったんじゃないかな。みんなすごくちゃんとルールを守ってた。みんながちゃんとしてるっていうことが目に見えるから、また安心できた。ライブ会場だけで感染するわけじゃないから、例えば帰り道、例えば翌日、、、日々どんな風に予防しているか、きっとここの人たちは気をつけているはず、って安心出来た。自分も日々、気をつけようって改めて思えた。

多分、今はイベントを開催したところで利益なんて出ません。赤字です。だけど開催するのは、どうやったら安心安全に演奏したり楽しんだりできて、さらにビジネスとして成り立つのかなと、そのノウハウを少しずつ積み重ねていくしかないからだと思う。

もちろん無理はしないけど、行きたい時は行って、ノウハウ作りに観客として協力しようと思うし、良いライブだったらラジオでライブレポはしようと思う。それが私の仕事だから。でも無理はしません。どちらかというと、私は、割れるまで石橋を叩いて、ほら割れたでしょ?って言うくらい、石橋を叩く性格です。怖がりです。だから、行け行けどんどんムードでアクセルは踏めない。その気運には不安を感じるタイプです。だから、無理はしません。用心します。

そして、気になっているのが、「ライブが好きだし音楽が好きだから、ミュージシャンやイベンターを応援したいとは思うけど、やっぱりまだ怖くてライブには行けない・・・」と言う音楽ファンの人たちのこと。ガレージリスナーさんの中には、そう言う人が多いのではないかと思う。何も負い目を感じることはないですし、無理に行かなくても大丈夫。行ける人で積み重ねていくので、音楽ファンのままでいてください。行きたいって本当に思えた時に、またね。それまではオンラインのライブや、CDやDVDや、他の音楽活動のハナシで、交わりましょう。

いよいよ大阪城ホールでのライブももうすぐ開催になる。いろいろあるけど、今のところは、有観客ライブを配信もするハイブリッド公演が、いろんな人がそれぞれ安心できるスタイルを選択できるので、良いのかなーって思ったりしてる7月下旬です。そもそもコロナ以前からライブ会場に足を運べない人もいて、そんな人にとっても、このオンラインで色々楽しめるのって、大発明だと思うんですよね。やっぱり、これはこれで進化して欲しい。




今まで本当に飛び回って、音楽もそれ以外も「自分で体験したことを伝える」というスタイルでラジオDJをしてきた。飛び回れなくなった今、さぁどうしようって思ったけど、結局は変わらないと思ったら、心が楽になった。この日々の中で発信される様々な表現をキャッチして、自分のフィルターを通して素敵だなと思うものを体感して、報告する。それが仕事なんだなと思った。ミュージシャンをはじめ、様々な人が戸惑いながらも表現し続けるものを、やっぱり私は自分で体験しなくては、言葉にできないんだ。そして、そんなこの日々のスケッチをしっかりと残していくのも、私の仕事なのではと思う。いつまで続けられるかは分からないけど。どんな媒体も会社です。苦しい状況には変わりないから。とにかく、私が今できることを、続けていこうと思う。

めちゃくちゃ長くなったので、誰がこんなもの読むんだろうと思いながらも、自分への手紙でもあるので、これで良い。