新しい暮らし
体力筋力精神力、全部が去年の今頃と違いすぎる。大阪マラソンまであと何週間?
ということで、とにかく10km走ろうと家を飛び出した。
引っ越したあと、まだ夜でも安全なジョギングコースが分からないんだけど、とにかく。
実は引っ越してきた町は、私が中高と過ごした隣町。
とはいえ、ほとんど来たことがなかったエリア。
ただ、ジョギングしていると途中で見当がついてきた。
よし、中学まで行ってみよう。
懐かしい通学路。大きなショッピングセンターができてる。うそでしょー、モンベルもタワレコもある。通ってた進学塾は別の塾に。高校生の頃にデートした公園が無い。特別な日に連れて行ってもらえた大好きなレストランもない。巨大だと思っていたマンションは、そこそこの大きさでしかない。
ある時できた通学路で唯一のコンビニは無くなってるけど、角のコロッケ屋は健在!
さすが!コンビニが潰れるのに個人商店が残っているなんて、とても嬉しい。
誰でもきっと中学生のころには持っていたであろうマイコロッケ屋。
部活の帰りに見つかったらどうしようかとオドオドしながら買い食いするコロッケ屋。
まっすぐ行くと中学があるはず。遅刻しそうな朝、この道はよく走った。今こうしてジョギングしてるなんて、不思議。あのころは義務教育によって運動音痴だと思い込まされていて、体育は全部休みたかったのに、今、こうして2度目のフルマラソンにむけて、自発的にジョギングしている。グラウンド!広い!でも嘘みたいに軽やかに走れる!嫌で嫌で仕方なかったのに。部室!呼び出されて正座させられたなぁ。どの部屋やったけなぁ。忘れたなぁ。そう、いじめられてたんです〜私。あはは。実は、この町に住んでいた時代は、私の暗黒時代なのです。
校舎へ続く小道も懐かしい。卒業式を思い出した。厳しい部活の先生が、嫌われ者だったけど実はわたしは好きだった。サイン帳かいてもらって、とても良い言葉で感動したけど、なんて書いてたかは忘れた。初めてのボーイフレンドに貰った第2ボタンどこやったっけなぁ。あの廊下でお手紙もらったな。岸田、元気かなぁ。もう立派にお父さんだろうなぁ。
今度は明るい時間に走りにきてみようかな。
帰り道にコロッケを買おうと思ったら、もう閉まってたし。
わたしは母がひとりで育ててくれた。
くたくたになるまで働いて、帰ってきてごはんなんて作れないよね。
わかる。わたしも今、なかなか作れないもん。
どんなに大変な思いで、家事をやって仕事をしていたんだろう。
外食も多くて、わたしはそれが嫌だった。
よく行くお店の店員さんに覚えられて、声をかけられるたびに不機嫌になった。
そんな私の態度に、きっと母はもっと疲れが増しただろうな。
本当は、こんな町に帰ってきたくなんてなかった。
小学生のころの町に帰りたかった。
この町にはいやな記憶しかないんだ。
いじめられた記憶、母が病院に運ばれた記憶、会社の倒産、
道中に泣いている記憶ばかりだ。
だけど、もしかしたらそういう記憶のひとつひとつに、
今こうして向かい合うために、私はここにまた呼び戻されたのかもしれない。
ちゃんとしたい。
ちゃんと家族を思いたい。
仕事もがんばりたい。
ぜんぶ頑張りたい。
親孝行をしたい。
力不足だ。今の私じゃ、まだ。人間力をあげなくては。
ぜんぶ100頑張る。
不意に自転車に乗れたみたいに、少しづつ走れる距離が伸びるように、
努力しつづければ、わたしもきっと世の中の人たちのように、
立派になれるはずだ。
がんばろう。
走っているうちに、目的がかわってしまったので、
めちゃくちゃ時間はかかったし立ち止まることも多かったけど、
とにかく今夜は10kmラン成功。
大阪マラソン本番までに、あと何回走れるかな。