うたたねシアター

「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」(2007/04/20 テーマ:PEACE)

テーマがPEACEと言われてまず頭をよぎったのが、大阪万博の事。スローガンはみなさん御存知の通り「人類の進歩と調和」。太陽の塔の周りには、世界中の一般の人達の写真がたくさん展示されていたそうです。それは地球を支えているのは、どんなエラい人でもどんな人気者でもなくて、世界中の普通の人の普通の生活なのだということを提示していたそうです。なんか、今こそ必要な考え方のように思えます。普通こそ!
リリーフランキー「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」の映画版がようやく公開です。いやぁ感動しちゃった。アホみたいに映画館で泣いちゃった。久しぶりにやってしまった。これで泣けないのは、よっぽど親不孝か、まだ子供なんじゃない?リリーフランキーっていう才人が、実のお母様の他界を受けて執筆した自伝小説と思って触れるからすごく特別な話のようだけど、実はごくごく普通のみんなに当てはまる気持ち。たぶん世界中の普通の人の普通の毎日、普通の人生。どこにでもいるオカンとボクとオトンの話。オカンとあなたとオトンの話。だからこそ今こんなに胸に響くのだと思う。映画の序盤の1シーンですでに涙腺解禁してしまったんだけど、それは、東京で共に暮らす為に上京したオカンをボクが駅まで迎えにいくところ。ホームのベンチに2人で座って少し言葉を交わすのだけど、オカンがまるで新婚初日の新婦のように、しおらしく遠慮がちにボクに甘えるんですね。このオカンがたまらなく愛おしい!オカンのオカンとしての人生最良の日だったに違いない!その時のじんわり滲むような潤いを思い出しながら暮らしていくのでしょう。幸せな平和な日々は、坂道を転がる石ころのように加速して過ぎ去ってゆく...というようなナレーションがグサッと刺さりました。自分サイズの平和のために大事にしなきゃいけないものは、実はもう手に入れているものの中にあるのかも。なんだかちょっとそんな気持ちになりました。