うたたねシアター
「アンテナ」(2004/02/20 テーマ:SEXY)
ここ2・3年ずっと気になっている俳優さんがいます。加瀬亮という人です。ずばり、彼が今イチバンセクシーだと私は思うのです。映画やCMで、ちょっと異様な役所が多くてね。ガリヒョロな体型とか、けっして薄くはない厚みのあるの唇とか、細い指とか、外見的なセクシーさももちろん感じるんだけど、私にとって最も魅力的なのは、彼の物腰です。ゆっくり考えながらじゃないと話せない、言葉を丁寧に探しながら喋る感じ。たぶん何かが足りない人なんだと思います。そういう所すごく好きなんです。で、その加瀬君の新作しかも主演作が出来ました。「アンテナ」。はい、田口ランディ原作です。監督は熊切和嘉。単純に彼の裸もいっぱい出て来て目がハートだったりもしますが、非常に深いお話です。加瀬君演じる祐一郎が持つトラウマをSM嬢のナオミがプレイを通して解放していくというものなんだけど、そのトラウマとなるエピソードやあれこれを真剣に考え出すと、すごく深いのです。自分に跳ね返ってくる部分も多くて、重い気分になるよりむしろ、私は遠くに出口の灯りを見つけた感がありました。エッチな描写の表面だけに捕われないで、真剣に見て欲しいです。根底にあるのは家族の問題です。そこと自分との間に問題が生じると、その問題は自分の中に深く根ざしてしまうのです。なぜなら親兄弟というのは自分では選べないもので、さらに初めての人間関係だから基礎となる部分だと思うのです。土台が歪むと、応用しようとしても歪みっぱなしなわけです。全ての人間関係に歪みが生じるわけです。その、複雑に絡まって何が問題だったのか分からなくなってしまっている加瀬君の心の鉄のカーテンを取り払うのが、この映画ではSMの女王様だったわけです。もしかしたらエッチな行為というのは、カウンセリングのような役割があるのかもしれないなと思いました。えっそんな結論?とにかく見てみて下さい。ひとりで真面目に見て下さい。