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◆うたたねシアター
うたたねシアター(for FLYING POSTMAN PRESS)

これは、FLYING POSTMAN PRESSにて、2003年8月~2010年3月の間、
担当させてもらった「土井コマキのうたたねシアター」という映画コラムです。

FPPは、毎号テーマが決まっているので、
そのテーマに合わせて、映画を1本紹介する、というものでした。
とても自由に書かせてもらいました。

なぜか、毎号何かを食べている写真をプロフィール写真として掲載していたのですが、
理由は忘れてしまいました。

最近のものから古いものへと、順番に遡って、転載していきますので、
もしも暇すぎる昼下がりや、眠れない夜などあれば、読んでいただければと思います。
書き直したいところもありますが、まぁ、もう、ええい、そのままで!
(ないと思いますが、絶対転載しないでください...!!)


追記
FPPさま。長い年月、大変お世話になり、本当にありがとうございました。
伊藤さん!いつも〆切のことなど、本当にご迷惑をおかけしました...感謝しています。


 
「フィリップ、きみを愛してる!」(最終回2010/03/20 テーマ:smile)

ユアンマクレガーとジムキャリーのゲイカップルの映画をみた。と言うと「濃いな〜(笑)」てな反応が多いです。ええ、確かに濃ゆかったし、笑えるシーンも多くてラブコメと言ってもいいかも。なのだけど!なんだかそれだけじゃ済まされない、妙にじんわり滲むこの気持ち、これって何だろう?
ジムキャリー扮するスティーブンはIQ164の天才詐欺師。収容された刑務所で、ユアンマクレガー演じるフィリップに一目惚れします。スティーブンはフィリップを幸せにしたい一心で、彼に内緒で詐欺を繰り返して、念願の二人きりのハッピーなセレブ生活をスタート!とはいうものの、やっぱり詐欺が発覚、再び投獄。そこから脱獄・詐欺→投獄→脱獄・詐欺→投獄・・・の繰り返し。ただただユアンを幸せにしたい、会って「愛してる」と伝えたい!それだけのために!あり得ない話だと思うけど、なんと現在もテキサスの刑務所に収監されている詐欺師の人生を描いたドキュメンタリー小説が原作なのだとか!彼は現在52歳であと144年の刑期が残っているらしい。なんとまぁ!スティーブンは元々は妻子ある真面目な警察官だったんですよ。だけど全てを捨てて自分らしく生きることを選んだ結果、嘘に嘘を重ねてしまうという・・・。なんだか文字にすると、切なくて哲学的ですが、すごくポップな映画ですからご安心を。
そして女子目線で見て、これは取り入れたいって思うことがいっぱいあります。なんてったって、ユアンマクレガーが可愛い!何よりとっても心優しい!女の子っぽいんです。あのソフトタッチ、見習うべきとこあるわぁなんて思います。それからジムキャリーのあの情熱。なんて一途なんでしょう。そして正直(詐欺師ですけど)。あんなに素直に追いかけられない。愛情を表現できない。愛とか恋とかだけじゃなく、自分のほんとの気持ち、あんなふうな120%の笑顔で表現できる?
素直に自分の気持ちを誰かに伝えた時、きっと人はいい顔をしていると思うのです。たとえ涙鼻水にまみれて、ぐちゃぐちゃの顔だったとしても。きっとね。色んな感情をまとめて体験できて、考える事ができて、やっぱり映画は楽しい。今月でこのコラムは終わっちゃうけど、難しいことは抜きにして「あれ見た〜?」なんて雑談するムードで、また映画のお話できたらいいなと思います。


 
「NINE」(2010/02/20 テーマ:ROOTS)

今月のテーマはルーツですって。なんと難しい...。どちらかというとミニシアターな私ですが、今月はとってもゴージャスな「NINE」というミュージカルムービーを取りあげたいと思います。トニー賞受賞のブロードウェイ・ミュージカルをオールスター・キャストで映画化したもの。主人公のグイドは映画監督。もう撮影が始まるのに最初の1ページ目もまだ書けていないという、これぞスランプという状況。グイドの妄想の中で繰り広げられるエモーショナルでセクシーな歌とダンス。グイドの周りの魅力的な女性達を演じるのは、ペネロペ・クルス/ニコール・キッドマン/ケイト・ハドソン/マリオン・コティヤール/ジュディ・デンチ/ファーギー(ステイシー・ファーガソン)/ソフィア・ローレン!なんとゴージャスなこと!ゴージャスボディなこと!1964年のイタリアが舞台ということで、衣装もまたすてき。さまざまなテーマの衣装でそれぞれのテーマの歌を歌い踊るダイナミックな7体をみてると、最初は「これって男の人の願望ですよねー?」的な苦笑いだったはずが、最終的には、なんか魔法というか催眠術をかけられちゃって、すっかり勘違い。まるでペネロペになったかのような心地で帰宅しました。そう、これですよ!これ!なぜ「ルーツ」がテーマでこの「NINE」を選んだのかと言うと、「映画館を出たあとにヒロイン気分になってる」これぞ、映画が楽しいって思ったイチバン最初の感覚じゃないかなと思ったんです。スターウォーズ見てレイア姫の気分になったり、ET見て自転車飛ぶと思い込んだり、そういうの。あれこれ考える議題が残る映画も好きだけど、単純にズドンとハマってパーッと振り切る映画も、やっぱりいいもんです。そんな、みんなが分かってるような事を、今さらこんな立派な紙面のコラムで大きな声で言いたくなるワタクシ。来月分で、どうやらこのスペースを卒業いたします。最後は頑張りたいです。


 
「おとうと」(2010/01/20 テーマ:REAL)

本当の家族というものを考えさせられる映画、山田洋次監督の「おとうと」を見ました。女手ひとつで娘を育ててきた姉(吉永さゆり)と、大阪で破天荒な暮らしをおくる弟(笑福亭鶴瓶)との再会と別れを描く家族ドラマです。この弟がほんとにやっかいで、現れると必ず事件が起きるのです。親戚中の鼻つまみ。だけど、どうしても切れないのが姉と弟というものなのか。血縁は強いです。
私は一人っ子です。兄弟姉妹がいない。だから想像するしかないですが、好きとか嫌いとかそういう次元じゃないんでしょうね。昔、つきあっていた彼と、彼のお兄さんの事で大げんかしたことがあったのを思い出しました。お兄さんが彼女に子犬をプレゼントしたらしいのだけど、飼えないってことで、私と彼で世話することになったんですね。あまりにも無責任。私はお兄さんが許せない、そして彼は兄を許せない私のことが許せなかったようです。私が彼の事をもっと深く愛していれば、全部受け止められたのかもしれないですが、若かった。映画の紹介になってないかもしれないけれど、とにかく家族という絆について久しぶりに考えました。この映画の弟ほどではないけれど、私もその日暮らしなので、できるだけ親のことは考えないようにしているんです。母のことを思うと、私は自分が情けなくて悲しくなってしまうのです。私の見えない明日の事で心配をかけ続け、こんな年齢まで母を働かせてしまうなんて。母に何かあれば、理由なんて2の次にしてなんとか解決する。きっと母も私にそうしてくれる。だからこそ、心配をかけたくない。あきらめずに頑張る事が母への親孝行だと自分に言い聞かせている。せめて孫の顔でも見せる事が出来れば良いんだけど。
それから、映画には血縁や夫婦さらには赤の他人だけれど縁があって、大事な存在になる人同士、いろいろな暖かい人間関係が出てきます。思うことは多いです。いいご縁がありますように。


 
「かいじゅうたちのいるところ」(2009/12/20 テーマ:CHANGE)

とにかく私は素直じゃない。それでいいと思っているわけでもない。だったら素直になればいいのだ。そんなこと分かってる。でも今さらどうにもできないのですよ。長年かけて溜まった角質みたいなもので「あまのじゃく」のコートはそうそう簡単に脱ぐことはできない。それにこうやってコツコツやってきたから手に入れたものもあるし。そこは認めてもらいたいし、自分でも褒めてやりたい。だけど、かわりたいのも事実。めんどくさい人です。そんな時に出会った映画が「かいじゅうたちのいるところ」。原作は60年代に誕生して以来、現在もなお世界中で愛されている絵本(恥ずかしながら私は記憶になかったけど)。監督はスパイクジョーンズ!さすが!愛らしいだけではなく憂いもある映画に仕上がっているので、ラブリーなものが苦手な男性もOKなはず。(音楽もアンニュイで素敵!)
主人公は、やんちゃで寂しがり屋で甘えん坊の男の子マックス。ある日ママとケンカして、家を飛び出したマックスは不思議な島にたどり着く。そこにいた怪獣たちはマックスを王様にしてくれるけれど...。この怪獣たちが色んな性格で、人間関係ならぬ怪獣関係はそれなりに問題も抱えていまして、誰かの顔が思い浮かぶよう。と同時に、私がハッとしたのは、この怪獣たちは全部わたしの中にいるなと思ったんです。そしてこれが人気の絵本で映画にまでなるということは、誰の中にも怪獣がいるということだ。私だけじゃなくて。そう、私だけじゃない。だから自分を責める必要もないんだな。自分の中の怪獣たちと仲良くやっていくことが大事なんだ。いろんなこと思っちゃいけないんじゃないんだ!あまのじゃくが影を潜め、こんなこと素直に思えるなんて、絵本ってやっぱりすごい力があるものだなぁと思った。それに気づかせてくれたこの映画も素敵ってこと!ホッとして少し泣いちゃいました。考える道筋をかえて、力を抜いて生きていきたい。すぐには難しいけれど。


 
「脳内ニューヨーク」(2009/11/20 テーマ:WORK)

時々自分で自分を演じているのではないかと思うこと、ないですか?今日は○○さんのコンサートにいくから、この服を着ようとか。こんなふうに見られたいから、こんなふうにしてみようとか。それが大袈裟になっていくと、どこまでがホントでどこからが演出演技なのか、混乱してくるときがある。脳内と脳外の線引きが怪しくなるときがある。いや、どうだろう。混乱しとりますね、私。
それもこれも、この映画のせいであります。「脳内ニューヨーク」という映画。あの「マルコヴィッチの穴」「エターナル・サンシャイン」の脚本家、チャーリー・カウフマンの監督デビュー作品です。ええ、あんな感じで最高です。
人気劇作家ヘイデンは、自分の頭の中のニューヨークを巨大な倉庫に作り出し、役者はそれぞれの人生を演じるという壮大な芝居の構想を思いつく。芸術家っぽい発言は、まぁロマンがあってステキとも言えるんだけど、そもそものきっかけは、妻との離婚。月並み〜!この主人公ケイデンがホントにダメ男で、ハッキリしないんで、事態がどんどん悪化するわけです。どんなにダメかというと、妻と娘が出て行く→受付嬢ヘイゼル登場→いい雰囲気に→が、妻と娘が忘れられない→自然消滅→別の女優と再婚→が、前妻と娘、さらにはヘイゼルへの未練もある。最悪でしょ?ぐちゃぐちゃです。しかも、倉庫の中のニューヨークには自分自身を含める、これと同じ人間関係がもう1組あって、現実と芝居の中が複雑に入り組み始めて、わけがわからない展開に...。パラレルワールド。ワンダーランド。
書いていても何がなんだか分かんなくなってきちゃった。面白かったことを伝えようとすればするほど、説明できなくて泣きそうになる。混沌の中、映画の冒頭に出てくる「秋は終わりの始まり」というくだりが、今私の体内をグルグルと巡回しています。この火が消えない感じ、これこそきっとチャーリー・カウフマンの仕事、仕業です。


 
「空気人形」(2009/10/20 テーマ:LEGEND)

「人魚姫」を思い出した。人間に恋をして最後は水の泡になってしまう人魚のお話。是枝監督「空気人形」は、空気人形が人間に恋をするお話なのです。主人公はぺ・ドュナ演じる、男性の性欲処理のためのビニール製の空気人形。ある朝、持ち主が勤めに出ている間に、その人形が心を持ってしまいます。服を着て靴を履き、町に出る空気人形。毎日いろいろ見聞きし、たくさんの気持ちも知ります。ARATA演じるレンタルビデオ店の店員の純一に恋もしちゃう。そんな中、事件が起きます。釘に手をぶつけて、空気が抜けてしまうのです!大変!見つけた純一だって驚きます。驚きつつ、急いで空気を入れてあげるシーンが、これぞラブシーンと思えるほどドキドキします!きっと、誰かの代用品として扱われポンプで入れられる空気と、恋した人が吹き込んでくれる空気が、彼女にとっては、まったく違う空気だったんですね。言葉通り体も心も満たされる感覚を知ったのでしょう。とても印象的です。(そして普通のラブシーンは全く何の感情も起きない!ただの性欲処理シーンなんですねぇ。さすが!)
誰かの吐き出した空気が、自分の中を満たして行く。誰かがくれた空気=気持ちが、自分を満たしていく。誰かと心が通った時(恋愛に限らず)、満たされて生きた心地がするものです。でも、空気は空気。抜けていく。消えていく。気持ちの交わりがないと、死んでしまう。自分も相手に気持ちを空気を返したい。とても自然な美しい気持ちの流れです。
なんだろう、この割り切れない感覚。悲しいのに美しい。切ないのに暖かい。でも、これが私にはとてもリアルに思える。人の気持ちって、こういうものだ。割り切れないものでしょう?映画を見てから何日も経って思い返した時、頭をよぎったのは「きれい」という言葉。空気人形が心を手に入れて、最初に発した言葉だ。もう一度、目の奥がじんわりと熱をもった。とてもいい映画に出会えたと思う。


 
「プール」(2009/09/20 テーマ:BEAUTIFUL)

この連載は、ずいぶん自分勝手な映画コラムですが、今月はよりいっそう個人的な観点での文章になってしまいそう。あらかじめ断っておきます。
今月のテーマは「ビューティフル」ですが、美しい心ってどういうものなんだろうかと、実はここのところずっと考えています。私は自分で作った「○○してはいけない」のオリに自分を閉じ込めてしまいがちで、窮屈になりすぎて、時々破綻してしまいます。「私が我慢すれば」「私のせいで」「私なんか」のオリもあります。突き詰めてしまうんだと思う。バランスが悪いのです。この心の在り方は美しくないと言われました。心が奇麗でいることが大事だと。「あなたは心が美しくない」と言われたってことですから、余計に落ち込みました。美しい心って何?
そして見た映画が「プール」。「かもめ食堂」「めがね」の流れを汲む小林聡美、もたいまさこ、加瀬亮らが出演のやわらかい映画。4年前、娘・さよを日本に残してチェンマイにあるゲストハウスで働き始めた母・京子。そんな母のもとに、大学の卒業旅行を兼ねて、さよが訪ねてきます。久しぶりに会う母は、自分の知らない人たちと平和に暮らしていました。小学生の男の子まで一緒に住み、母は我が子のように可愛がっているのです。自分と祖母のことは放っておきながら、なんて勝手な!
正直な話、さよの心模様の変化に、私はついていけませんでいた。だけど旅行にいったり、ゆっくり休んだりして、数週間経った今、ようやく気持ちがスッキリしてきました。きっと、母がそうしたように、さよもまた、自分の心を自由にしてあげたのだと思う。大げさにいうと魂を解放するっていうことかな。こだわりも責任も、過度に守りすぎなくていいんだと思う。私も自分を解放してあげたい。自分の心を美しくなかったなんて絶対思わない。だけど、バランスのとれた状態が美しい心と表現されるのだとしたら、そうありたい。ゆっくり効く映画でした。


 
「そんな彼なら捨てちゃえば?」(2009/08/20 テーマ:EXCITING)

まぁ、なんというか、たぶん世界中のいたるところで女子が2人いればこういう話を絶対してる。「メール返信ないねん・・・」「大丈夫やって!忙しいんちゃう?」みたいな。分かってるけど気づかないふりをしてる、そういうことをバッサリ切る!・・・・そういう宣伝文句。ガールズトークムービー「そんな彼なら捨てちゃえば?」を見ました。長年同棲してる彼が結婚してくれない女の子や、結婚してる人、男の人から合図を間違ってキャッチしちゃう女の子などなど、いろんなパターンがあるのだけど、みんな、なんだかうまくいかない。ただ好きなだけなのにね、なんでこんなふうになっちゃうんだろう。ま、好きだからこそ、ややこしくなっちゃうんだけど。そして女の子って、やっぱりとてもチャーミング。映画は、最終的に色んな形のハッピーエンドに落ち着いてて「ふーん」なんて思ったりしたのだけど、ま、そうでないと、がっくり肩おちたまま、映画館からどうやって家に帰ったら良いのやら。明日仕事休むかも・・・いや、長期休暇、いや、もう仕事やめて田舎に帰りたい・・・。なんてなりそうですよ、30を超えたシングル女子としては。だから、いいんだけどーーー。
男の人ってどう思うのかなぁ。映画の最初のほうのシーンで、女子としては「あーこの発言、この行動、わかるーーーー!」なとこで、私の背後のおっさんが声出して笑ってて、いやーーーーーーーな気分になったんですぅ。おっさんからは、映画に出てくる女子達はバカにされてるのかもしれないけど、だいたい女子ってこんなもんで。映画館もいいし、女子のお泊まり会で、夜中に部屋でパジャマで見たいな。おやつと紅茶。たぶん、くすくす笑ったり、「分かるわー」とワイワイ言ったりしたのち、最終的には、ちょっと涙目になって、見終わったあと、身の上話になって、ネットで無料占いとかする・・・。そういう流れですな。荒治療的、衝撃がある映画です。


 
「色即ぜねれいしょん」(2009/07/20 テーマ:SHINE)

夏!青い夏と書いて・・・ちがう!夏!といえば、青春!追う白球!いやいやいやいや、そうでなくて。青春時代って、もうちょっとモヤモヤしてて、それでいて子供っぽいもんじゃなかったっけ?いわゆる青春映画ってスポーツ物とか多いけど、どうも解せない。だって運動部じゃなかったし。それに青春映画で導かれる答えの数々は、あの時は分からなかったはず。振り返って思うものだと思いません?そーだそーだ!そんな人にオススメな、ズバリな映画です「色即ぜねれいしょん」!みうらじゅんさんの自伝的小説を田口トモロヲ監督が映画化。超が付くような文化系の人の青春時代ですもの。それだけで期待できますよね?
主人公のじゅんは体育会系でも不良でもなく、自分を子供扱いする両親にさえ反抗しきれず、完全なるモテない系の男子。ある夏休みに友達と隠岐島のユースホステルに行こうと計画!そこはフリーセックスの島らしい(そんなワケがない!)。夏休みの間に変わる子、なんにも変わんない子、色々いたけど、間違いなく変わりたいのに変われなかった子が大半で、そんな地味な人向けの青春映画です。70年代に青春期だったオジサマはもちろん、今青春期の男子も、私のような70年代の音楽のフレーバーが好きな大人の女子も、きっと楽しめる。そう大人の女子から見ると、かわいくて仕方ないのですよ、彼らが。「ほんまに男子は、どうもこうもしゃーないなぁ〜」感!あーまぶしい季節だ。
文化系の女子として、第1トピックは、くるりの岸田くんの初出演映画だということ。「ヒッピー」の家庭教師役ってとこがいい!そして主演の渡辺くんが可愛らしい。黒猫チェルシーという兵庫出身のバンドのボーカルなんだけど、ガレージパンクバンドです。目を剥いて歌うような、その音源を知っていたら、この映画たぶん腰くだけると思います。だってあんなにええ笑顔をするとは。黒猫チェルシーも気になる夏なのです。


 
「The Fall落下の王国」(2009/06/20 テーマ:FESTIVAL)

「The Fall落下の王国」を見ました。ポスターや予告編などで見る絵が色鮮やかでスケールが大きくて気になっていた作品です。実際見てみるとモノクロのシーンでさえ鮮やかに感じるほど、徹底した美しさ!
舞台はある病院。主役は入院している映画俳優のロイ。撮影中に落下して足にハンデを負い、しかも恋人に振られたばかり。そんなロイが、オレンジの木から落ちて腕を骨折して同じ病院に入院している女の子アレクサンドリアに毎日少しずつ「お話」をきかせるというもの。そんなに衝撃的な設定ではないでしょ?それだけに美しい映像だけが印象に残るのかと思いきや、逆に心が揺さぶられる、絶妙なバランス!なんと構想は25年前からターセム監督の中にあったという!どうりで!
舞台が病院なので、気になるのはロイとアレクサンドリアの怪我はどうなるのか。それが「えっ、そうなん?」という、全く私が思っていなかった展開で意外でした。そして、ロイの聞かせる作り話がロイの気持ちの落ち込みにそって悲しいストーリーになっていくのです。それは幼いアレクサンドリアにとっては理屈抜きに「そんなのはいやだ」なお話。どんな事があっても主人公が死んじゃったらいやだ。
何らかの感情が沸点に達したとき、その感情をエネルギーに命が燃えるのを私は感じます。命の炎が燃え尽きる時、「死にたい」という気持ちが資源になっているのは、やっぱりたまらない。いろんな気持ちで命と向き合っている登場人物がいます。どれもわかるけど、結局のところは、愛くるしいアレクサンドリアの子供らしい単純な気持ちがまぶしく光る、ささやかな命の祭典のような映画でした。
なんだか重い文章になっちゃってますが、どうぞもっとお気軽に!アレクサンドリアの生えそろっていない歯、触りたいくらいのほっぺた、無邪気さ、可愛いですよ〜。だから余計にロイに自分のくだらない悩みを重ねて、あれこれ考えちゃうんですよね。あは。


 
「スラムドッグ$ミリオネア」(2009/05/20 テーマ:smart)

「スラムドッグ$ミリオネア」をみました。今さらなので、あえて内容の説明は省きますが、私、クイズ番組が軸になっているシニカルな映画だと誤解していたのだけど、全く違う!お恥ずかしい!できるだけ大きな音で、大きな画面で見るべき映画だと思います!さすがダニーボイル監督。トレインスポッティング同様、スピード感あふれる冒頭で、もうノックダウンです。そして、やっぱり映像と音楽の合わせ方も素晴らしいです!監督は極端な人生を描きたいと、ずっと思っているのだとか。そして、特別なのはその登場人物だけではない、見ている一人一人が特別なのだと伝えたいと。
インドのスラム街に生まれた青年・ジャマールが、クイズ番組で富豪になるっていうのも、まぁ極端だけど、それよりも何より、そこに生まれてしまったがための様々な出来事に引き裂かれながらも、初恋の少女・ラティカを求め続けるという、極端なラブストーリーの部分が私は印象的でした。ジャマールと兄のサリームの身の上に、とにかく逃れる事ができないようなひどい出来事が起こり続けるのです。もちろん微笑ましい思い出もあるけれど...。そんなひとつひとつの経験が、映画のラストシーンへ、クイズのラスト問題へと繋がって行くんです。ファイナルアンサーは、机の前ではなく、生き抜いてきた一瞬一瞬の中から導きだされるのです。これ以上ないくらいピュアで、これ以上ないくらい悲しくて、これ以上ないくらいまばゆい光が差す映画でした。
映画のような極端な出来事はそうそう起こるもんじゃないかもしれません。だけど、自分にとっての大事件は時々ありますよね?重みは同じ。そしてそんな経験から得る物は必ずあるはず。見えない誰かからのテストであり、贈り物かもしれません。長い目で見た時にファイナルアンサーとして何を求めるか、そのためには、何がsmart=利口か。本当に自分が欲しいものは何だろうか。そんなことを思いました。


 
「ホノカアボーイ」(2009/04/20 テーマ:friend)

なんだか色んなことのタイミングが合わなくて、ちょっと凹んでいたある日、ひとりで「ホノカアボーイ」を見に行きました。とてもよかった。大げさじゃない手触りがすごくよかった。たぶん私はハワイに行く事なんて絶対ないし、行ってみようかなぁとは思わなかったけど、手招きする感じでもないところが、また良かった。
主人公・日本の大学生レオは、休学してハワイのホノカアに滞在しています。そこは、豪華じゃないけどおいしい食べ物と、それをおいしく食べる人と、人それぞれのテンポがあっても、まるまる全部を受け止め合える人間関係があります。この登場人物たちのリズムが心地よく混じる様子を、音楽で表現しているシーンが素敵ですよ。そして「かもめ食堂」「めがね」並に、おいしそうなごはんがたくさん出てきます。こちらの料理は高山なおみさんらしい。ふむふむ。日系移民の町ということで、日本食がベースで、ちょっとハワイ調。食べる前に儀式のように、レオは必ずポラロイドで撮影するのだけど、これが淡い色調で美味しそうな写真達!しかもみんな美味しそうに食べる。レオもいいけど、松坂慶子演じるエデリが、食いしんぼうぶりが可愛らしい!おいしそうに食べるひとって、やっぱり見ていて気持ちいいです。そんな人になりたいし(じゅうぶんだ、と言われたことがあるけど・笑)、そういう人が隣にいてくれたらいいのに。だって、美味しそうに食べているのを見てるだけで、なんだか元気出ませんか?
偶然、最終電車に乗り遅れて久しぶりに我が家に泊まりにきた友達と、トーストを食べながら、この映画のこと、思い出しました。わたしのテンポを、わたしのリズムを、水が流れ出るのと同じように受け止めてくれる、そういう町に住みたいなぁ。かといって、ホノカアに行きたいわけでは全くない。ホノカアが手招きしているとも、思わない。自分にとってのホノカアはきっとここにある。うん、いい映画をみた


 
「鴨川ホルモー」(2009/03/20 テーマ:COFFEE)

万城目学の青春ファンタジー小説「鴨川ホルモー」が映画になりました。気分転換するのにぴったりな1本です。普段は私は見た後に自分会議にかけるべき宿題が残るような、そういう映画を選んで見がちなんです。だからこの「ホッとひといき」ってテーマで選べるかなぁと困ったんですが、コレがありましたね〜。なーんにも考えなくて大丈夫です!とにかくクスクス笑えます!舞台は京都大学。主人公の2浪して京大に入学した阿部は、新歓コンパで一目惚れした女子と仲良くなるために「京大青龍会」というサークルに入部。このサークルはホルモーを行うサークルだった!・・・ホルモーっていうのは、オニをオニ語で操って戦う競技。ちなみにオニは隊長30センチ/体重1キロで、ホルモーを戦う人にしか見えません。ダメージを受けると顔の真ん中が凹むけど、レーズンをあげると回復します。なんのことか分かんないですよね?大丈夫、みたら分かります。山田孝之、栗山千明、濱田岳、斉藤祥太・斉藤慶太、荒川良々...という出演陣が、ばかばかしい演技(めちゃ褒めてます!)で大ハッスルですよ。で、ばかばかしいCG(めちゃ褒めてます!)も加わって、全部が全部、過剰なまでにデフォルメされてるのに、ちゃっちくない、なんだか子供っぽくない、この微妙なバランス!非現実的で「?」な出来事の中に、歴史的事実がふんわり挿入されて、にんまり笑って気持ちよく納得させられちゃうところが、私の万城目さんのすきなところなんです。そういう歴史的な因果関係とかの、おりこうさん部分は小説よりなかったけど、この「明らかに作り物なのに違和感のない感じ」っていうのは、ある種、小説を読みおわったあとの気持ちに似てる。ってことは、この映画化、大成功ってことですよね。ただ残念なのは、私のイメージではもうちょっとオニが愛らしい予定だったんですよね...。飼ってもいいかなくらいの。けど、おもしろかったなぁ。いやーおもしろかった。


 
「ノン子36歳(家事手伝い)」(2009/02/20 テーマ:KEY)

「ノン子36歳(家事手伝い)」という映画をみました。ついに!熊切和嘉監督作品にSAKEROCK・大人計画の星野源くんがバーンと出てるんですよ!音楽担当はもちろん赤犬。もはや監督のお気に入りなのではと思われる坂井真紀さんが主役。熊切監督の映画ってドロドロしてたり乱暴だったりする、ちょっと独特のマニアックな雰囲気がありますよね?だから初めて熊切作品に登場した時は、チャレンジャーだなぁと驚きましたが、その昔カーテン相手に「絶対きれいになってやる」ってシャドーボクシングしていた女子とはもう思えません。ま、でも「絶対きれいになってやる」とか言ってた女子があれこれ経験して、結婚→離婚→実家出戻り→家事手伝い・・・。そんな映画ですね。
坂井真紀さん演じるノン子は離婚後田舎の実家に戻り、なんとなく暮らしています。良い事どころか、悪いことも起きない、ツッカケ履いてママチャリにまたがる退屈な毎日。きつくあたる父親と腫れ物にさわるような母親。あーめんどくさい。そこに星野くん演じる「なんかでっかいことやってやろう」なんて思える年頃の若者が現れます。さらに元ダンナもやってきて、久々に動き出すノン子の心。今さらそんな大きな変化を起こす事なんて出来ないっていうか、そもそもチャンスなんて30半ばの自分のもとにはやってくるはずがない。どうせバカをみる。だけど。だけど!だけど?うわー、コマキ31歳(浮遊業)、この状況すんごい分かる!抜け出す鍵がどっかに落ちてたらいいのにって思ってるけど、たぶん見つけても拾えないんだろうな。拾えないっていうか、拾わない。自分で足かせをつけてるんです。知ってます。あーあ。だけどなんとなく髪の毛切ってみようかなぁ、そんな気持ちになりました。今までの熊切作品を知っている人にとっては、新しい手触りだけど、ある種やっぱり青春映画なんです。この作品、もしかしたら熊切監督にとってもKEYになるのでは?


 
「カフーを待ちわびて」(2009/01/20 テーマ:ストーリー)

この連載をずっと読んで下さっている方はお分かりでしょうが、私いわゆる「ラブストーリー」を見ないんです。だからこのコラム5年半くらいになりますがラブストーリーをピックアップするのは、多分初めてなのでは?しかも見てみたら、これが・・・!
「カフーを待ちわびて」という映画です。主役は玉山鉄二演じる「あきお」。沖縄の小さな島で愛犬カフーと暮らしています。マイコ演じる「さち」と名乗る女性から、ある時手紙が届きます。「絵馬の言葉が本当なら私をお嫁さんにしてください」。なぬ?冗談で書いた「嫁に来ないか、幸せにします」の絵馬をみた人のいたずらだろうな。が、まさかの展開!なんと本当にさちがやってくるのです。しかもめちゃ美人!しかも本当に嫁になるつもりらしい。どこから来たのか?何をやっている人なのか?本気なのか?ゆるやかな幸せと同時に感じる不安・・・。あきおの愛犬「カフー」というのは沖縄の言葉で「果報」「よい知らせ」の意なのだとか。カフーと一緒に静かに「果報」を待ちながら暮らすあきお。そして実際に果報がやってきたら、気持ちはワサワサとして幸せなのになんだか落ち着かない。そんなものなのですよね。恋愛から遠のいている私としては、当惑するあきおの気持ちがとってもよくわかるのです。自分にやってきた果報を信じられないなんて、なんて切ないんでしょう。泣ける!ただ待っているだけじゃカフーなんてやってこないだろうけど、あきおみたいにささやかな行動をしたら、もしかしたら私にも・・・?ラブストーリーを見て素直に夢見てる自分に驚きました。そんな自分の変化にちょっと嬉しい。涙。あはは。やわらかな暖かさがじんわりと心地よく、ゆっくりと根をはる幸福が欲しくなる映画でした。まぁしかし、私がラブストーリーを見ようと思うなんて、いったい私にどんなストーリーが展開しようとしているんでしょう・・・。それが気になるこのごろなのです。


 
「ビートルジュース」(2008/12/20 テーマ:HAPPY)

HAPPYというテーマで取りあげるべき映画が全く思いつかなくて、入稿が非常に遅れていまして、なんて私って暗いんだろうかと凹んでいたのですが、スターウォーズと並んで昔から大好きな映画を思い出しました。「ビートルジュース」ってご存知ですか?奇才ティムバートン監督の霊界コメディです!はい、私ホラー映画が大の苦手ですが、これはどっちかというと可愛いのです!
ある日突然死んでしまった夫婦の霊が、生前住んでた家に移り住んできた変人一家を追い出すために、自称バイオ・エクソシストのビートルジュースを目覚めさせてしまうんだけど、このビートルジュースがひどいトラブルメーカーというか問題霊で、ありゃりゃどうなるの?......といったお話。出てくるモンスター達がとにかくキッチュでチャーミング!かわいいと言ってもファンシーじゃないですよ。今ふうに言うとキモかわいい?さすがティムバートンです!それから若き日のウィノナ・ライダーが、その引っ越してきた変人一家の娘役なのです。元々、私はこのウィノナが見たくってビートルジュースを見たんです!ゴスっぽいいでたちだったように記憶してます。NANAみたいな?超かわいいですよ。幽霊に操られて、一家が食卓で「バナナ・ボート」を歌い踊るシーンがまたマネしたくなるような素敵シーン。なんだか結局誰も怖くないし悪くないし、超ハッピーな気分になれるんです!で、忘れちゃならないのが、日本語吹替アドバイザー/ギャグ監修として所ジョージが参加してるんですよ!しかも日本語吹き替え版のビートルジュースの声は西川のりお!きゃー!ワンダフル!くだらない!大好きだー!
で、びっくりしたんだけど、オリジナルの劇場公開20周年を記念して、新たな映像特典を加えたDVDが11月19日に発売になっているらしい!なんてタイミングがいいの!?これは見なさいってことですよ、きっと。2008年のクリスマスパーティでのマストイベントではないかしら?


 
「私は貝になりたい」2008/11/20UNIQUE

SMAP中居くん主演・最新版の「私は貝になりたい」をみました。というものの、実はフランキー堺主演のオリジナル版をちゃんと見た事がありません。幼少の頃にテレビで放送されていた映画版を、母親と一緒に見ていた事をなんとなく覚えているくらい。でも子供心にも「うまれかわれるなら、私は貝になりたい」という最後の台詞と、画面に映し出された海底の静かな貝の絵が、印象的に残っています。誰にも関わる事無くひとりぼっちのほうがいいなんて、どんなに生きていることがつらいことだったのだろうかと、戦争に対する異常なまでの恐怖心をいだきました。だから実際のところ今回が初めて見るようなものでしたが、私の中でなんとなく特別な存在の映画だったので、がっかりしたくないなぁと思って見てみました。結論から言うと、すごくよくできてました。想像通りでした。ただ、今まで私が思っていた「貝になりたい」理由が、実際は違いました。単なる「逃げ」ではなくて、それはもっと深い愛が根底に流れているからこその「貝になりたい」でした。ショックでした。理屈が通らない、自分の意志も関係ない、そういう時代。それは勉強もしたし、たくさんの映画などでも扱われているし、十分知っていた事実のはずだけど、まるで初めて知ったかのようなショックがありました。その悔しさや悲しさや恐怖感、そして家族を思う恋しさ、心配、心配させたくないという思い・・・映画に流れている全ての感情が手に取るように感じられて、本当にショックでした。涙が止まりませんでした。自分がくやしくて、涙が出ました。詳しい事は書きません。中居くんがどれだけでも取材を受けたいと言っていたそうなんですが、そりゃぁそうだろうなぁと思います。普通の優しいお父さんの表情、丸刈りにしたあとの表情、戦地での表情、牢獄での最後の表情、どれもこれもすごく良かったです。あ、別に中居くんファンでもなんでもないですから!


 
「シャカリキ!」(2008/10/20 テーマ:HUMAN)

役柄に自分を近づける人もいれば、役柄のほうがその人に乗り移ったようになる人もいる。というような事を美輪明宏さんが言ってました。別の生物くらい役者さんの生態がわかりません。最近、遠藤雄弥くんという俳優くんと仲良くなりまして、彼はホント普通の男の子なんですよね。ワタクシあまりドラマなどを見ないもので、先日初めて彼のスイッチが切り替わってるのを見ました。「シャカリキ!」という自転車のレースがテーマの映画です。主人公のテルという高校生の役なんですけど、ガムシャラ、もとい、シャカリキに自転車に夢中になってるさまが、遠藤くんそのものなんです〜。
「シャカリキ!」の原作のコミックは、自転車乗りの皆さんにとっては、バイブルともいうべきものなのだとか。ざっくり言うと、自転車部に入部して自転車レースをやるうちに仲間のことを考え成長していくというお話です。自転車レースって、チームプレーなんですね!そういうレースがあるってこと全く知らなかったのでビックリしました。昔カーレースのF1が好きだったんですが、F1も実はとても人間臭い競技なんですよ。機械を使うけど結局操る人間の人柄がにじみ出るわけで、そういう意味でF1もこの自転車レースもなんとなく麻雀っぽいというか(笑)、人間味あふれていて良いですよね。
で、遠藤くん。この映画を見てると、遠藤君の人柄がいたるところに滲んでます。拗ねることなく、卑屈になることなく、いやみにへりくだるわけでもなく、普通に一生懸命取り組む姿勢が、気持ちいい子なんです。だから、実際にロードレースで走ってるシーンがいちばん素敵に見えました。シャカリキになってる時って、人が一番いい顔してるのかもしれませんね。たまたまこの映画では自転車がモチーフだけど、家族でもペットでも物でも趣味でも、なんにしても、愛をもって接することができる、自分をシャカリキにしてくれる、そういうもの、欲しいなぁ。


 
「TOKYO!」「僕らのミライへ逆回転」(2008/09/20 テーマ:MOON)

ミシェルゴンドリー監督が大好きなんです!「エターナルサンシャイン」や「恋愛睡眠のすすめ」どちらも夢がある!皮肉もある!ドリーミーでロマンティックで切なくって愛がある!ロマンティックだけど悲しい。でも幸せなのかもしれない。なんかそのバランスがたまらなく狂おしいんです。こんなこと考えてるなんて、なんて夢見がちで素敵な人なんでしょう。月でウサギが餅つきしてるなんていいますけど、私ぜんぜんピンと来ないんです。それどころか、なんの感情もわかない。でも彼なら「月でウサギが餅つき?なんて切ないの?!」って思えそうな、そういう映画つくってくれそう。ミシェルゴンドリー作品は、秋の夜長にぴったりだと思います。新作も2本、日本に到着してますしね。
まず「TOKYO!」ミシェルゴンドリー、レオスカラックス、ボンジュノという3人の監督が東京を舞台に撮った短編3本のオムニバス。ミシェルゴンドリーの作品は、主人公が、自分の存在意味、居場所を探して、えらいとこに落ち着く話なんだけど、いちおうハッピーエンドなんだけどキュンとしちゃう。ロマンティック。3本の中で一番好きです。
そして、とあるレンタルビデオ(not DVD)ショップで、店員が撮影したリメイク版のビデオが大人気になるお話「僕らのミライへ逆回転」。この登場人物達のリメイクの仕方が、超チープでメチャクチャな代物なんだけど、腹がたたない!すんごいチャーミングなのです!どこを切ってもミシェルゴンドリー!なんだか映画ってものに対する愛を感じちゃうんですよね。そう考えたら、この映画自体が、「ニューシネマパラダイス」に通じるものを滲ませているような...。映画の中で、撮影されたリメイク版はYouTubeで実際に見れたり、さらには「僕らのミライへ逆回転」の予告編さえリメイクしちゃってたり、どこまで遊ぶねん!映画みてYouTubeも見てください。もひとつ楽しいよ。


 
「スカイクロラ」(2008/08/20 テーマ:MIRACLE)

押井守監督「スカイクロラ」を見ました。アニメーションです。
舞台は、人々が平和を実感する為に「TVで観戦するショーとしての戦争」が繰り広げられている世界。その戦闘機のパイロットは、思春期の姿のまま永遠に年をとらない子供「キルドレ」達です。とんでもなく切なくむなしい宿命を背負っているんです。主人公は、全ての記憶を失って、新たな基地に赴任してきたカンナミ・ユーイチ(声:加瀬亮)。彼を始めキルドレ達の姿は、なんとなく思春期のころの自分を思い出させます。何のために生まれてきたんだろうなんて、時々考えたりもするけど、意味がないやと「なんとなく」の毎日にかえっていって、明日をどうやって楽しくするかを考える。つかの間の喜び。生きている感覚がもてない、なんとなく生きている。その繰り返し。映画の中でユーイチは、全ての事実を理解したとき、何かをかえるために奇跡をおこすために絶対に勝てない敵に立ち向かいます。結局待っているのは同じ結末。そうなるのが、わかっていても、それでもなお立ち向かう。これ、とても必要なことかもしれない。
確かな手応えがあるときと、全くないとき、色んな季節が巡っています。毎日同じことの繰り返しで、退屈だと思っている人もいるかもしれない。でも、全く同じ日なんてない。たとえ同じに思えたとしても、かえたいなら、少し違うことをしてみるだけで、何かがかわる。特に、自分の中では何かがかわる。自分の中がかわることこそが、実はとても大切で、素敵でドキドキすることの種だと思う。きれいごとに聴こえるかもしれないけど、最近の私が実感していることです。私は「スカイクロラ」からも同じメッセージを受け取りました。見た後に、照れずに自分会議をしてほしい映画です。
「希望がないってことに希望があった」というのはアナログフィッシュのある曲の歌詞。希望はある。奇跡が起きるかは分からないけど、きっと希望はありますよ、誰の毎日にも。


 
「近距離恋愛」(2008/07/20 テーマ:SKY)

どんなに離れていても大丈夫。この空はあの人の空に繋がっているから。なーんてな。遠距離恋愛をした事がある人なら、一度は黄昏れてみたことはあるでしょう?でもさ、あの空とこの空は違うのよ。空気も違う。言葉も違う。食べ物も違う。笑いの種類も違う。そこで!「近距離恋愛」という映画を見ました。
男女間の友情ってどう思う?って話題になっちゃうんだけど。学生時代に出会って10年来の大親友の1組の男女。毎日のようにランチを共にしたり、休日も遊んだり、お互いの恋愛の話はもちろん家族の事まで何でも話せる関係。どこから見ても「結婚したらええのに」なペアです。ある時、彼女の結婚話が進むんです。さぁ、どうしましょうか。間違いなく嫉妬しますよね、ちょっとは寂しいですよね。寂しさの原因ってなんだと思います?あれ?好きなんじゃないの?うわーマッズー。どうしましょ。
これなー、みんなきっと体験したことあるんじゃない?例えば、ヨリを戻したいって思ってたのに、元カノに新しい恋人ができたと言われた!とかね。自分が浮ついてる時になんとなく恋しそうなメールが来た、とか。これってさー、タイミングよね。すれ違ってる感って、めちゃ感じるよね。泣きたくなるよね。10年も友達だったら尚の事、どうやって切り出したらいいのか。恋愛関係になったらいつか終わる、だけど友情はいつまでも関係を維持できる。今更ながら古くさい格言のようなものに縛られて、ますます掴めないタイミング。そもそもそんなこと相手は求めてないかも?だけど、長年同じものを見てきた相手だもの、きっと、お互いの関係についても同じようなことを考えてるんじゃないかなぁって、かすかな希望が頭をよぎる・・・。みなさん、あたい、大親友から恋人になろうとチャレンジするって、大賛成ですよ!きっと下半身は関係ないよ、頭と心だよ。この空を見て語り合えるかって事じゃない?ねーどうする?言っちゃえば?!


 
「歩いても歩いても」(2008/05/20 テーマ:DISCOVERY)

公開は少し先になのだけどすごくいい映画を見たので紹介させてください。「歩いても歩いても」という是枝裕和監督のホームドラマです。姉弟がそれぞれの家族を連れて実家に帰省してきた夏の終わりのある日。実はその日は15年前に亡くなった長男の命日で。原田芳雄演じる元開業医の厳格な父親と、父とそりの合わない主人公の阿部寛と、陽気な姉YOU、母親役は樹木希林。久しぶりに賑やかな食卓に料理の腕をふるう樹木希林と、手伝うYOUの親子のさりげない会話がたまらなく懐かしい。食材から香る新鮮な匂いさえ感じるような映像。外の暑さも、冷房を入れていないのになんとなく涼しい古い家屋の温度も、いちいち全てが伝わってくるんです。穏やかながらも、会話の中から滲み出すのは、みんなそれぞれの小さな「しこり」というか、愚痴というか、そういうもの。母のそれは時にひどく冷たいもので、それでもぶつぶつ言いながら歩いていくのが生活ってもので。または、分かっているんだけど言えないことや出来ない事を抱えて、あぁまた乗り遅れたって思いながら立ち止まったり引き返したり、それも人生なのかもしれない。そんな「ささくれ」を優しい視線で包んでくれるのがゴンチチの音楽。これがまた本当に素敵なのです。この音楽のおかげで、柔らかい気持で見終われるのだと思います。波風がありつつも、全部をなんとなく「そういうもんなんだよ、だから大丈夫」って悟すようなギターの音色。私、なんだか特別に土井家は不幸な気がしたり、自分ってなんて親不孝なんだろうって思ったりするんだけど、どこもみんなそれぞれ何かあるのかも。歩いても歩いても何かしら問題は発生するのかも。答えなんて死んでもまだ見つからないのかも。だからこそ、後悔しないように出来るだけの親孝行をしたいなぁって、樹木希林の見事なおばあちゃん姿を見て再確認しました。多分これを見たらこのお盆は帰省しようって思うはずですよ。


 
「Factory Girl」(2008/04/20 テーマ:HOLYDAY)

休みの日に見たい映画を、とのことですが。毎日が休みのような生活をしている私です。どうしようかしらん。と思っていたら毎日が休みというかパーティのような映画をみました。「Factory Girl」という映画です。1960年代のNY。アンディ・ウォーホルが、アンダーグラウンドカルチャーシーンに君臨していた時代。ウォーホルの前に突然現れた、とびっきり魅力的な女の子、イーディ・セジウィックのお話です。ウォーホルは一瞬にしてイーディの虜になり、彼女を自分の映画に出演させます。するとイーディはあっというまにメディアの注目の的になり、彼女のファッションは大流行、カルチャーシーンのアイコンとして輝きます。大きなイヤリング、バッチリアイメイク、小枝のような華奢な体に幾何学模様のミニワンピ、黒いタイツ、確かに超かわいい!なんとなく60'sファッションが気になっていた今日この頃、買い物天国にGOしてしまいそうです。とにかくイーディとウォーホルのコンビは、どこに行っても渦中の人!ウォーホルのスタジオ「Factory」は、個性的な仲間で騒々しいまでに賑わいます。トルーマンカポーティ、ヴェルヴェットアンダーグラウンド、ボブディラン・・・当時のシーンがよく分かる映画です、興味深い!イーディの魅力は輝きの陰にある弱さなのかもしれないです。複雑な家庭環境に育った彼女はとてもバランスが悪いのです。きっと純粋すぎたんだと思う。だから人を惹き付ける反面、自分も毎日がパーティのようなFactoryの吸引力にどっぷりハマり、ウォーホルに利用されマスコミに踊らされ、挙げ句見捨てられ・・・まさに時代を駆け抜けたのだと思う。偏った育て方をされると、居心地のよい居場所をみつけた時、嬉し過ぎて無防備に身を委ねてしまう。これ、すごく分かる。バランスが悪い人や物って、危険だけどやっぱりとても魅力的なのです。あー洋服欲しい、仕事がんばろ。


 
「魔法にかけられて」(2008/03/20 テーマ:HELLO)

男友達がどんなに「アウト」と言いながら親指を立てようが、私、髪は巻きませんし色も染めません。どんなに「ほんまに彼氏欲しいわけ?全然せっぱつまってる感じないけど?」と言われようが、ってオイ!それって焦れってことか?・・・まぁとにかくそんな事しなくっても、いつか来るべき時に出会うべき人と出会うはず。いやーどうかなぁ、ないかもなぁ、でも、でもさぁ。でもね〜たぶん〜きっと〜♪なんて薬師丸ひろ子をエンドレスリピート。まぁそんな出会いきっとないよね、女も30越えりゃ気付きますよ、そんなの幻想、まさしくメルヘンや。いつのまにかロマンチックな映画やお涙頂戴お約束映画も大キッライになりました。ディズニー映画なんて無理無理。・・・と思ってたんだけど!「魔法にかけられて」の、これぞディズニーなオープニングを見た瞬間!オーケストラの壮大な音楽に合わせてプリンセスが歌い、懐かしいタッチの鹿やリスが踊り出した瞬間!思い出しました。初めてディズニーに触れた時の「心躍る」としか表現の出来ないあの感じ!こんなにオッサン扱いされてても、あたしだって女の子なのよ!いつか私も白馬に乗った王子様が〜。ストーップ!実際王子様と出会ったらキツいなぁ。だって私への募る愛を歌われるわけよ、大声で人前でタイツで!しかも私も歌って答えないといけないと来たもんだ!無い無い!王子様の格好してなかったとしても、まず無邪気な真っすぐな男の人が苦手やしなぁ。なんて、夢と諦めの間を行ったり来たりしてしまう大人の女子に「魔法にかけられて」は超オススメの映画ですよ。セントラルパークで繰り広げられる、ディズニーランドのパレードさながらのミュージカルシーンを見たら、あなただって、いつの間にか手を頬に当て少女のように目がキラキラしてるはず。何か忘れていた物を思い出せるような、そんな魔法を持ってる映画です。エンドロールも可愛いのでオタノシミニ。


 
「マイ・ブルーベリー・ナイツ」(2008/02/20 テーマ:BITTER)

ビターがテーマの今号にぴったりな映画を見ました。ノラジョーンズ初出演/ウォン・カーウァイ監督「マイ・ブルーベリー・ナイツ」。これだけで既にキャッチーすぎる!ウォン・カーウァイといえば私はどの作品より「恋する惑星」です。恋する惑星ではパイナップルの缶詰がシンボリックなアイテムとして出てきたわけですが、今回は「ブルーベリーパイ」。失恋したノラジョーンズをジュードロウのカフェのブルーベリーパイが(っていうか、パイとジュードロウが)癒してくれるわけです。わかりやすいっしょ?「恋する惑星」よりも、どこにでもある話でハマります。分かるんですよね〜。あの落ち込んだときの甘いブルーベリーパイの味。パイの生地のところに溶けたバニラアイスが沁みてて、気持ちもじんわりしちゃう。だけどさ、ブルーベリーパイは落ち込んでる時しか要らないんですよね。だからいつも売れ残っちゃう。なのに毎日焼き続けるジュードロウ。「なぜブルーベリーパイはいつも売れ残るの?」と聴くノラジョーンズにジュードロウは「ブルーベリーパイは何も悪くない、ただ選ばれないだけなんだ」。っくうぅうう!泣ける・・・ええこと言うやん!だけどさ・・・ただ選ばれなかった私、じゃぁどうしたらいいの?どうして選ばれないの?ううっっっっぅ。分かった、私が残らず食べてやる!・・・ですよね?しかしカフェのマスターってこうじゃなきゃね〜。ええこと言うて慰めてくれなきゃ。ちなみにジュードロウは実際にカフェを経営してるらしいよ。私は彼はタイプじゃないけど、っていうか、店に立つ事はないんだろうけど、妄想が膨らみますわね?みなさま?もちろんノラジョーンズが映画の為に書き下ろした曲が流れるわけですが、さすがウォン・カーウァイ監督は、音楽の使い方が最高に上手い!映画のドあたまにウッドベースの音が聴こえた瞬間、さっそく私は掴まれました。苦い失恋に聴くおとぎ話のような映画です。


 
「全然大丈夫」(2008/01/20 テーマ:World)

荒川良々の初主演映画「全然大丈夫」を見ました。世の中には生きるのが上手い人と、そうでない人が居ます。多分、私は不器用な人間に分類されると思う。そんな私が言うのもアレですが、不器用な人っていうのは、おそらく自分の好きなものが自分でハッキリ分かっているから、それを曲げられないんです。そこが揺らぐと自分の存在意味がなくなる、そんな大袈裟な事を考えてます。敏感に色んな事を感じ取って被害妄想に近いことまで発展しがちです。ま、実際のところは、自分の中から偏った所を無くしたら、他の人と並んだ時に違いがなくなるのが怖いし、負ける(何に?)気がするんですね。そう、傷つきたくないからこそ自分の世界を確立させて守ってしまうわけです。ちょうど荒川良々がそういう役です。来年30なのにオバケに凝っていて、いつかはお化け屋敷を作るなんで夢みてるんです。こうして客観的に見ると、言い訳して逃げてるようにしか見えないんだけど、当人は前述したとおりの理論で生きているわけです。私、「ですよね〜」で生きていけたら、どんなにか平和だろうかと思っていたんです。そしたら岡田義徳が荒川良々の親友のそんなサラリーマン役で登場。それはそれで、しわ寄せが来てしんどいんですね。嫌われたくないだけなんですね。悲しいなぁ。もう1人登場する不器用さんは木村佳乃。ありえない鈍くささで仕事をクビになる、絵と本とチクワが好きなマニアックな人なんだけど、これが最後には幸せになっちゃうわけですよ。おい、そーなるかよ!そんな出会いないってば!くそー。すごく面白かったし、見て良かったなぁって思うんだけど、人生うまくいってない自分に対して言い訳してるみたいな、全然大丈夫って言い聞かせてるみたいな、実際はそんなに上手く行くわけないし、なんだかちょっぴりみじめな気持ちになっちゃいました。とほほ。
追記:他にも、蟹江敬三や白石加代子ら、強烈な惹きがいっぱいですよ。


 
「母べぇ」「ペルセポリス」(2007/12/20 テーマ:MERRY)

まずは山田洋次監督「母べぇ」。太平洋戦争が起ころうとしている1940年〜1941年。舞台となる東京郊外の野上家では「父べぇ」「母べぇ」と言う具合に「ちゃん」の代わりに「べぇ」を付けて呼び合うんですね。そうしたらなんだか楽しいでしょ?だそうです。ええ、絶望的な時代に灯る小さな幸せの象徴です。浅野忠信が父べぇのかつての教え子「やまちゃん」役で登場するのですが、慌ただしくおっちょこちょいで、人の良いキャラクターがまた、ささやかな希望の彩りを添えます。だけど、励まし合って強く正しく生きればいつか...なんていう時代ではないんですね。言ってはならない言葉やしてはいけない事が、理解出来ない理由で押し付けられていた時代です。戦争も逃れられない現実なんです。やはり野上家からも1人ずつ去っていくのですが、その時に使われる「お世話になりました」という言葉に感動しました。その一言の後ろに隠れたたくさんの思い。私、お世話になった方に「御世話になりました」とちゃんと言えてるかな。いい加減に使ってしまってるな。ちょっと落ち込みました。偶然もう1本見たフランス映画「ペルセポリス」は、イラン出身のマルジャンサトラピ監督自身の半生を綴ったアニメーション。1978〜90年代の激動するイランが舞台。私が生きてきた時代にも、細かいことは違えど「母べぇ」と同じような絶望的な日々と、そこでささやかな楽しみを糧に暮らす強い心を持つ人達がいたのか!急に絶望というものがリアルに感じられてきて自分が情けなくなりました。こうしている今もどこかで絶望が生きていて、日本はこんなにボケている。努力すれば手に入るものが多いし、議論で自分の意見が認められることもある。なのに、誰かを傷つけることでしか楽しいと感じられないドアホな誰かさんが、教室にも職場にもバーチャルな世界にも溢れています。...話が飛躍しすぎた感がありますが、年末年始にちょっと襟元を正したい気持ちになりました。


 
「クワイエットルームにようこそ」(2007/11/20 テーマ:STRANGE)

松尾スズキ監督「クワイエットルームにようこそ」見た?見た。泣いた?泣いた。すごい良い映画でした。私は大人計画が好きなんだけど、この映画はThat's〜ドイの好きな〜大人計画だったなぁ。皮肉ぶりと真面目ぶり、その混ざり具合が素晴らしかった。なんかね、大人計画ってテーマの核心をついてると思うんですよね。で、その提示の仕方が独特のユーモアがあって辛気(しんき)臭くない。今回の映画は、閉鎖病棟に入院している人達が題材なんだけど、軽い打ち出し方も含めて、ものすごく当事者な感じがしました。だから泣けたのかも。
さてさて。どの患者さんの症状も、その種は私の中にあると思いましたね。みんな持ってるんじゃないかな。特に拒食症の蒼井優が食べない理由を告白するシーンがゾクッとした。それ、同感。だからって「いつあなたもこうなるか分からないんですよ」とか「もがいてるのは前向きな証拠」とか「あぁ人間って愛おしいな」とか、そんな事あたしは言えません。言いたくないですね。乱暴な言い方をさせてもらうと、そんなこと言える人はきっと他人事なんだ思うな。どーせ自分には関係ないと思ってるでしょ?闇を持ってない人だ。うらやましい。いや、うらやましくなんかないわ。可哀そう。あれ?なんだか今月はおかしいぞ。映画の紹介になってる?いや、それだけ、なんかこう、なんていうのかな、この映画の完成度が素晴らしいと思ったのに、なんで世の中の大多数のひとは、そんな感想になるんだろーおいおい、、、的な苛立ちを感じちゃったってことです。最後に出てくるメールアドレスがまた冗談きついけど冗談じゃなくって良いわぁ。わかるわかる、その感じ。この松尾さんのニュアンスを具現化した俳優さんたちもすごい!最後に、主人公が追い込まれる原因のひとつであるコラムの文字数が、このコラムと一緒だったのでドーキーッでした。彼女のめんどくさい思考回路も似てるし。やべー。


 
「オリヲン座からの招待状」(2007/10/20 テーマ:SMILE)

例えば、駅の階段。1人が走り出すと周りもつられて走り出すんですよね。疑いの眼差しのあなた、試しに電車の時刻表とは関係なく、無意味に駆け上ってみてください。知らない誰かが絶対あとを駆け上がってきますから。・・・「つられて」っていいですよね。なんか平和な響きです。そうね〜って思った人に今月おすすめしたいのが、浅田次郎の短編小説の映画化「オリヲン座からの招待状」です。舞台は昭和30年代、京都の映画館「オリヲン座」。館主が亡くなったあと、未亡人となったトヨ(宮沢りえ)と、館主の弟子だった留吉(加瀬亮)が、貧乏に耐えながら映画館を守り続けるというお話。夫の夢を継ぐ、先代への恩をかえす、そんな固い意志を胸に生き抜くわけですが、未亡人が若い燕に手をつけた的な陰口を酒の肴にする人もいるわけです。あぁうるさい。ただ実際、同じ方向にむいて必死で生きる男女の間に愛情が生まれないわけがなく、むしろ、そういう状況で育まれるお互いへの思いやりは、男女の愛というより家族愛のようなもので、すごく純粋で綺麗なんですね。蛍を眺めながら初めて二人が手をつなぐシーンが、ほんと穏やかで暖かく素敵です。二人の暮らしには、ゲラゲラ笑うというよりは、何かに微笑むのを見て「つられて」微笑む・・・ささやかな笑顔が溢れていて胸うたれます。この瞬間きっとすごく幸せだろうなぁって思うシーンがいっぱいです。ただでさえインスタントなお祭り騒ぎが多いうえに猛暑だった今年の夏を過ぎ、疲れてるのは体だけじゃなく気持ちもバテてるはず。シンプルなものを求めているはず。きっとこの映画がじんわり効くと思います。
にしても!今年は加瀬くんの映画がたんまりで加瀬ファンの私はうれしくって仕方ないです。しかも色んなタイプの加瀬君が見れるなんて。ただ、この映画は加瀬君も素敵だけど宮沢りえが素晴らしい!老け演技、疲れた女の宮沢りえ、ほうれい線がセクシーです!


 
「めがね」(2007/09/20 テーマ:OPEN)

きたきた。ついに「かもめ食堂」チームによる新作「めがね」公開!楽しみにしてたんですよね〜。だって、加瀬亮、珍しいキノコ舞踊団、メルシー体操、大貫妙子・・・見事にツボをついてくるキーワードがズラリ!もちろんかもめ同様、小道具がいちいち可愛いし、料理もめちゃおいしそう!さて、舞台はどこかの島。仕事から逃げて一人で旅に出てきたらしい小林聡美。時を同じくして小さなかばんひとつで到着するもたいまさこ。小林聡美が宿泊する「ハマダ」という小さな民宿。毎朝浜辺で子供を集めて行われるメルシー体操。宿泊しているわけでもないのにハマダで小林聡美と食事を共にする市川実日子。あたりまえに展開する全ての事に、小林聡美は馴染めないんだけど、小林聡美をおいかけてきた加瀬亮には普通に入り込む。なんで?なんで?郷に入れば自然と郷に従う人。それはマナーとか良識とかそういうのではなくて、溶け込むという素質?土足で入り込むのではなくて、みんなが自然に開いている感じ。
何度も出てくる「たそがれ」という行為は、ぼんやり何かを考えたり考えなかったり、その場の空気と1つになる事なんじゃないかな。自分と自然、自分と他人、自分と地球との垣根がなくなる感じ?「たそがれ」を出来る場所はその人にとって桃源郷なのかも。そう、最近私は桃源郷について考えてまして。桃源郷=理想郷、理想は普通の自分を受け入れて貰えて、しかも後退せず、ヒラメキやハリのある状態。精一杯頑張って何とか「土井コマキ」を維持出来ている私にとって、気を抜いても今を保てるのはもはや魔法じかけ。自分が開ける桃源郷。それはどこかの土地かもしれないし、特定の誰かさんが居る場所なのかもしれない。どっちにしても、私はまだ探している途中。映画みたいに、かき氷を食べてキーンとなったら覚醒するのかな。かもめ食堂ほど動きはないけれど、その分じんわり響いて「たそがれ」てしまう映画です。


 
「恋するマドリ」(2007/08/20 テーマ:ドラマチック)

こんなドラマチックな展開があるわけない!だけどみんな一度は空想したことあるんじゃないかな?引っ越した先でスペシャルカッコいい人と出会い恋に堕ちる...そういうの。ないない!痛いっていうな!分かってるってば。でもこんな映画見たら、妄想族の我々フラウ世代は特に「引っ越しかぁ」と遠い目になってしまうわけです。引っ越しをする芸大生ユイ役が、新垣結衣ちゃん。引っ越した先の上の階に住むカッコいい彼が松田龍平。結衣ちゃんが前に住んでいた家に、新たに引っ越してきたのが菊地凛子。偶然が重なり合って親しくなっていきつつ、微妙な三角関係になるんです。これが、絶対ないわ〜というような展開なんだけど、ただし菊地凛子の言動がリアル!で、いい女なんですよ!美人で仕事が出来て優しく口調も穏やかな大人、しかも自分が目指しているジャンルの才能もあると来たもんだ!なのに気取ってなくて、プロレスが大好きで、会場でBIGサイズのプロレスT着て大はしゃぎ!二十歳のユイからすると素敵すぎるでしょ!だけど本人は近い関係の人達からの愛を信じることが出来ないし、戸惑ってばかり。やー、二十歳の女子にはワカランよ、この感覚。色んな経験がトラウマみたいにこびりついて、妙にひねくれてしまうんですよね。子供か!でもそれが大人。なのかも。まぁ、ドラマチックな出来事なんて待ってても起こらないですよね。起こそうと思って起きるものでもないし。でも、とらえようによれば、この「大人の中ではペーペー」な世代の女子ってのは、素直になれないが為に、ややこしくなるような事をわざわざ選びがちなんですよね。その辺の感じが、本当に絶妙に菊地凛子が演じていて、いやーカッコワルいけどカッコイイですわ。その他、見どころとしては、FrancFrancがついているだけあってインテリアがかわいい!この映画のためにFrancFrancがデザインした「にっこり椅子」も欲しい♪


 
「サイドカーに犬」(2007/07/20 テーマ:COOL)

新妻になりたての友達の家で夕食をお呼ばれした。食事の後、誰かの手土産の枇杷を食べながら、台所から聴こえる食器を洗う音を聞いていたら、すごーく懐かしい気持ちになった。子供の頃に感じたあの感覚。たまらず口にしたら満場一致。洗い物を順番にかわって、枇杷と甦る感覚を味わいました。小学生の頃、親戚に「ミエたん」と私が呼んでいた素敵なお姉さんがいました。まだ高校生だったけど、早くに亡くなったお母さんの代わりに、炊事洗濯や2人のお兄さん達とお父さんの身の回りの支度も完璧にこなしていた。さらに勉強も出来て現役で医大に行ったし、テニス部も休まなかった。いつからカッコいいことをクールと表現するようになったのか分からないけど、まさにミエたんはクールで私は憧れていました。だから私を言う通りにしたい時は皆「ミエたんなら...」が常套句でした。
そういう憧れのお姉さんな役どころに竹内結子が初挑戦している映画が「サイドカーに犬」。こちらのお姉さんはもう少し年齢も上で、名前は「ヨーコさん」。主人公の薫が10歳のある日母親が家出をし、そこへ現れたのがヨーコさん。明らかにお父さんと不倫状態なわけで、それってどうなのと思うけど、実にカッコ良く薫の目には映っています。喜怒哀楽の振り幅が大きくて、サバサバしてて良い女!子供からすると、お母さんが女性ではなくお母さんって生き物なのと同じで、ヨーコさんはヨーコさんっていう生き物でしかないけど、実は男女のドロドロもあるし、、、今の自分と一緒でいっぱい大変な気持ちも抱えてたんだろうなぁ。私はどれだけお姉さんになれているんだろう。もっと頑張ってみようって思いました。女の人はこの映画を見たらきっといいと思います。私もいつのまにか、お姉さんの当時の年齢を余裕で通り越し、肌だけは確実に年相応になっているけど、いつまでも憧れ続けています。すっかり年下の「憧れのお姉さん」のミエたんに。


 
「舞妓Haaaan!!!」(2007/06/20 テーマ:BLUE)

ずいぶん前に上七軒歌舞練場で北野おどりのお手伝いをした時「恋の手管は〜よう〜知らぬ♪」みたいなお唄を歌って舞う舞妓ちゃんの、まだまだ固いつぼみのような蒼い色気にメロメロになった覚えがあります。女の私でさえそうなのですから、そりゃね〜殿方のお気持ちも分かる分かる。だけどここまでやる?な映画でしたよ、阿部サダヲ初主演「舞妓Haaaan!!!」!脚本は宮藤官久郎!待ってました!めちゃくちゃな映画ですけど、めちゃくちゃオモシロかった〜!阿部サダヲが演じるのは、舞妓しか愛せないサラリーマン。舞妓はんファンサイトの管理人をしているほど熱狂的な舞妓ラブ。だけどしがないサラリーマンには、お座敷遊びは夢のまた夢。舞妓はんとの野球拳を人生の目標にしている。そんなある日、京都支社への転勤(正確には左遷)を命じられる。浮かれる阿部サダヲ。仕事で成果をあげたらお座敷に連れて行ってやると社長にいわれ、一念発起!阿部サダヲが画面からはみ出しそうなテンションで、このサラリーマンの舞妓への熱烈ぶりを演じているんだけど、ほんとにすごい切れまくってます!さすがの一言に尽きる!3分後の展開がまったく読めないストーリーに、なんでやねんって突っ込みながらとにかく笑う笑う。その中で「あれ?今のってすごい核心ついたこと言ってたかも?」とハッとして。だけど次の瞬間にもう笑ってるから、結局あーオモシロかったで終わっちゃう!見てる私の頭の中もドタバタ喜劇です。いいのいいの。それでいいのよ。そして記憶にもうひとつハッキリ残ってるのは、舞妓はんの衣装!あでやか!ドイおすすめの舞妓はんは、柴咲コウではなく小出早織!あのおぼこい感じ!たまらん(←おっさんと化す私)!ちなみに植木等が西陣の社長役で出演してるんだけど、植木さんが登場するとなんか締まるわ。他にも、しっくりきすぎるチョイ役さんがいらっしゃって、もうそれだけでも笑えます。ええ。


 
「ストリングス」(2007/05/20 テーマ:LIFE)

ライフ、人生について?まだまだ若輩者ではありますが、なんだか、どこかで誰かが私の人間力成績表みたいなのをつけていて、いい時を見計らって、時にはちょっと高いハードルをかせてくるんじゃないかなぁってね。で、実力をつけるためのひとつの要因が人との出会いかなと。色んな人との交わりから、地図や手順表をもらってる気がします。縁ですよね。出会うべき人とは出会うべきタイミングできっちり出会ってくんだって思えるんです。私は本来、ここで運命の糸の話なんて持ち出すような夢見る夢子ちゃんではないんだけど、いやもしかして...なんて思ってしまうような映画を見ました。デンマーク生まれのドールムービー「ストリングス」日本バージョンです。人形劇でしょ?くらいの感覚で見て驚愕!2004年のデンマークでの初公開以来、世界中のクリエイターから注目されてきたというだけあって、最初のシーンからとにかく!マリオネットとは思えない表現力におどろく。CG一切なし、目が開閉するだけのはずなのに、なんでこんなに表情が違って見えるの?すごい! 1体5人掛かり/5メートルの糸が必要で全部で10kmに及ぶストリングスが使われたとか!まさしくストリングスを多用した音楽も幻想的で素晴らしい。そしてなにより、その世界観に感動した。人形劇で涙したなんて、私ったら!マリオネット達が生きる世界が舞台で、みんな糸で天上と繋がっていて、さらには、全ての生命が糸で繋がってるという...。自分の糸のおわりが、誰かの糸とつながってる。脳がグラグラいうような台詞がありました。「愛で繋がっているのでなければ、憎しみに縛られているのだわ」......!!!愛で糸がつながっているのだと感じることができれば、その「誰か」を動かすことができるし、ひとりで出来ないことができる。あえて見せている長い長い糸がストーリー上でも映像としても、すごーーーく素敵で印象的でした。大人の為の人形劇ですよ。


 
「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」(2007/04/20 テーマ:PEACE)

テーマがPEACEと言われてまず頭をよぎったのが、大阪万博の事。スローガンはみなさん御存知の通り「人類の進歩と調和」。太陽の塔の周りには、世界中の一般の人達の写真がたくさん展示されていたそうです。それは地球を支えているのは、どんなエラい人でもどんな人気者でもなくて、世界中の普通の人の普通の生活なのだということを提示していたそうです。なんか、今こそ必要な考え方のように思えます。普通こそ!
リリーフランキー「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン」の映画版がようやく公開です。いやぁ感動しちゃった。アホみたいに映画館で泣いちゃった。久しぶりにやってしまった。これで泣けないのは、よっぽど親不孝か、まだ子供なんじゃない?リリーフランキーっていう才人が、実のお母様の他界を受けて執筆した自伝小説と思って触れるからすごく特別な話のようだけど、実はごくごく普通のみんなに当てはまる気持ち。たぶん世界中の普通の人の普通の毎日、普通の人生。どこにでもいるオカンとボクとオトンの話。オカンとあなたとオトンの話。だからこそ今こんなに胸に響くのだと思う。映画の序盤の1シーンですでに涙腺解禁してしまったんだけど、それは、東京で共に暮らす為に上京したオカンをボクが駅まで迎えにいくところ。ホームのベンチに2人で座って少し言葉を交わすのだけど、オカンがまるで新婚初日の新婦のように、しおらしく遠慮がちにボクに甘えるんですね。このオカンがたまらなく愛おしい!オカンのオカンとしての人生最良の日だったに違いない!その時のじんわり滲むような潤いを思い出しながら暮らしていくのでしょう。幸せな平和な日々は、坂道を転がる石ころのように加速して過ぎ去ってゆく...というようなナレーションがグサッと刺さりました。自分サイズの平和のために大事にしなきゃいけないものは、実はもう手に入れているものの中にあるのかも。なんだかちょっとそんな気持ちになりました。


 
「ルナシー」(2007/03/20 テーマ:SECRET)

今回のテーマはシークレット。では、コレを好きな女子って、世間的にどうなんだろうか...あんまり言いたくないんだけど...な作品をひとつ。それは、とある精神病院が舞台のチェコ映画「ルナシー」。監督は奇才、ヤン・シュヴァンクマイエル。チェコ映画って言ったら可愛いものをイメージするであろうカフェ系の女子のみなさんには申し訳ないのだが、あたくしに言わせれば、チェコっていうと、シュールでグロテスクで、でもなんだか怖くない、例えば「オテサーネク」なんかがパッと浮かぶ、今ふうに言うと「キモ可愛い」もんが好きなんですよーだ。こんな女子、どうせモテないでしょうが、いいんですよーだ。ホラー映画を絶対に見ない私ですが、これは有りなんです。余計に可愛げがないですかね?グロテスクって言っても、リアルじゃないんですよね。人形アニメを使っていて、音楽もかわいらしいんです。ただ効果音が生々しいかも?動く物がモノだけにNGな人もいるのかも?実写のところはハッキリ言って、ファンタジー映画よりファンタジーですよ。そんでもってテーマが狂気じみてるんですね。哲学的ホラーです。私たちは子供の頃「健全な精神は健全な肉体に宿る」といわれ、体育の時間に走ったり投げたりしていたわけですが、この映画の中でも「精神と肉体のバランス」を保つことが大切だと語られます。心が病んでいるのは、心に比べて体が丈夫すぎるのだ。体も弱くなればバランスがとれて、心の病が治るのだ。ふーん、そんなもんかなぁ...って!ちょっと待って!なんか違うくない?なんで精神が弱ってるからって肉体をも痛めつけて弱らせるのよぉ〜??哲学と屁理屈の境界線ってどこにあるのぉおお??うわ〜〜。どこでスリ替わったんだろ?あれー?なんて言ってる間もなく、異様な世界に巻き込まれてしまいます。待っているのは予想に違わず絶望的な結末...。のーん!大丈夫、私そんなに難しい子じゃないです!ちゃんとクルテクの可愛さだって共感できますから!


 
「マリー・アントワネット」(2007/02/20 テーマ:TRIP)

あぁ、憧れのフランス...!海外未経験の私が勇気をふりしぼって、一人フランスへ唐突に旅にでたのは去年の今頃。なんであの時、ベルサイユ宮殿行かなかったのか...くやまれる!
ソフィア・コッポラ監督「マリー・アントワネット」は3ヶ月ベルサイユ宮殿で本格ロケしたらしい。しかも立ち入り禁止になっているところでも撮影の許可がおりたというからすごい。実際その人が生きていたところでその人を演じるってどんな感じなんだろう。よくあるお岩さんの撮影中に事故が...的なトラブルなかったのかしら?この映画だと、もしマリーアントワネットの幽霊が出てきても、うらめしや〜じゃないだろうなぁ、きっとソフィアコッポラにお礼を言うんじゃないかなぁ。というのが、いわゆる歴史映画では全くないから。そうか、マリーアントワネットってこんなに若かったんだし、大変でしたなぁ〜と気持ちが寄り添ってしまうほど、ひとりの女子の話として描かれているんです。ソフィアコッポラってすごいセンスいいなぁって思うのは、私たち21世紀の女子が感情移入できやすいような、音楽と色の使い方をしてるってとこ!時代劇だけど時代劇じゃない!(蜷川実花監督「さくらん」も同じく。)私たちが欲しかったのは絵が忠実かどうかじゃないのですよ。コレコレ。気持ちを忠実に感じ取りたかった。授業でちょっとでも想像するヒントとか与えてくれてたら、どんなに私は世界史に興味を持ったでしょうかね。もうちょっと点数とれたやろな。話がずれましたが、とにかく刺激を受けっぱなし。ひとことでいうと、かわいいの。素敵なの。ガーリーなの。キャンディカラーでロックでポップ!
あぁ、やっぱりフランスもう1回行こう。今度はベルサイユ宮殿に行って、宮殿から歩いて30分もかかるらしい庭園のはずれトリアノンにも行こう。うん、そうだ。思い入れが出来てから行くべきよね。でないと、ただの観光になっちゃうもんね。


 
「それでもボクはやってない」(2007/01/20 テーマ:LOVE)

「FROG RIVER」以来の6年程、とにかく加瀬亮にラブなのです。06年は「ハチミツとクローバー」とか「硫黄島からの手紙」など、取りあげられやすい作品への出演が多かったので、皆さん御存知だと思います。私は「アンテナ」の加瀬くんがとても好きなんですけど、新興宗教にハマる母親、精神状態が破壊してしまう弟、自傷癖からSMによって開放されていく自分、というとてもじゃないけど想像出来ないような設定の役どころなんです。だけど、すごくリアルでこりゃ凄いと思ったのを覚えています。かと思えば、「誰も知らない」ではコンビニ店員の役で、あの存在感のなさといったらまさにコンビニの店員なんですよね。あんなに気配を消せるなんてすごいです。そう、何が凄いって突飛な役より普通を演じたときの普通ぶりが凄いんです。そんな加瀬君が「満員電車で痴漢に間違われる」という普通の青年役で主演しているのが、周防正行監督の最新作「それでもボクはやってない」です。周防監督の11年ぶりの作品でテーマは裁判。裁判なんて非日常な感じがしますけど、実はいつ自分のことになるか分からないんだって気付きました。間違いなく加瀬君演じる青年もそう思っていただろうし、無実の罪に問われた普通の人が、裁判が始まって1年の間に感じる色々な感情が、もう、ほんとにリアル!そしてその場にいた人達のバラバラな記憶や、被害者の女子高生の「たぶん」「だと思います」という曖昧さでも立派な証言になってしまうという事実。「疑わしきは罰せず」なはずなのに、そうはいかない裁判制度。なんて暮らしにくい世の中なんでしょう。気付けば傍聴席で裁判を見守っている自分がいました。うーん。はがゆい!だけど「それでもボクはやってない」んだ!すごい普通の発言がタイトルになっていて、なんか全てを物語っていて、あぁ加瀬君が主演でよかった。本当に真面目だけど面白い映画です!おすすめ!


 
「鉄コン筋クリート」(2006/12/20 テーマ:NIGHT)

夜には魔力がある。すごいヒラメキが降りてくることもあるけど、嫌な事ばっかり思い出して、壁打ちのような自分会議をエンドレスで...なんて夜もある。私の場合、まぁ週の半分はそう。昼間に人並みの社会生活を営むために、夜は徹底的に自分に向き合うことで、きっと私はバランスをとっているのだと思う。両方必要。
漫画文化があまり無い私が読んだ数少ない作品のひとつ、松本大洋の最高傑作と名高いコミック「鉄コン筋クリート」が、ついに映画化されました。義理と人情とヤクザの"地獄"の「宝町」を仕切る、「ネコ」と呼ばれる二人の少年クロとシロ。連載されていた当時、絵のタッチもテーマも雑誌の中で浮いていて魅力的でした。超人気作だしストーリーについてあれこれ書いても賛否両論になっちゃうだけだと思うので、あえてあまり触れずにおこうと思います。いっぱいテーマがあるし。ただ、夜と昼が両方必要であるように、クロとシロは二人でいるから上手くバランスがとれているという事実。ここがやっぱり私には一番ズッシリくる部分でして、クロが精神世界をさまようシーンが結構私には大切なんですよね。先の夜の話に戻るけれど、自分会議=自分vs自分の、脳の毛細血管が破裂してしまいそうなグルグル感!自分vs自分ってミクロなはずなんだけど、気付いたらとてつもなく壮大な考え事に達してしまうこともあって、そのミクロ&マクロ両方ある感じが絶妙に描かれているんです!以前紹介したアニメ「マインドゲーム」に似たスピード感とスケール。と思ったら、やはり同じ日本アニメ界の最高峰・スタジオ4℃が手がけていました。そして超個性的な登場人物を見事に演じている声優さん達に拍手!特にシロ役の蒼井優ちゃん!パーフェクト!
自分会議の末、そこから何が見えるのか?それは会議をやってみなきゃワカンナイじゃない?だから自分を責めて眠れない夜も無駄じゃないんだ。そう、ソコカラナニガミエル?


 
「待合室」(2006/11/20 テーマ:マジック)

「待合室」という映画を見ました。舞台は東北の過疎がすすむ寒村。そこに全国各地から旅人が立ち寄る駅があります。その駅の待合室にはノートがおかれていて、抱えている悩みや苦しみを書き残してゆく者も少なくない。そしてその書き込みに、励ましの返事を書き続けているおばさんがいるというのです。しかも実際に新聞に掲載されたエピソードがもとになっているらしい。うわー。寒い!さらにノートの表紙には「命のノート」の文字。重い!一杯のかけそば系。一番私が苦手な類いです。『どんなに辛い事があっても一生懸命に生きて下さい。いつか必ずいいことがありますから』なんて言われた日には勘弁してくれと思ってしまいがちなのですが...。が、これが、感動の嵐でして、泣いてる自分にびっくりしました!すごくリアルなんですよ。私と同じように、このおばさんの書く返事を嘘くさいと思って反抗する女の子も、ちゃんと出てくるんですよね。しかも最後までこの子は全部信じきれることなく終わるんです。でもそれでいいんだよと、分かる時に分かればいいのだと、そういう終わり方ってとても本当だと思いませんか?あと、市川実和子が都会から来た新聞記者の役で出てくるんですけど、あの都会な雰囲気がとてもリアルでした。「なんにもないからこそ、何度も足を運ぶ場所」と新聞記者は分析するのですが、なるほど〜と大きくうなずきました。そういうところに行くと、自分の輪郭がハッキリするんですよね。この待合室みたいな場所、みんな持ってるかもしれないですよね。私の場合は場所じゃなくて耳栓。ヘッドフォンで外の音を遮断して音楽を聴くのと同じ感覚で、大袈裟に言うと自分と対話するために耳栓をするんです。そしてもう1つ印象的に登場するのが「おむすび」なんですよ。かもめ食堂でも出てきたけど、やっぱりおむすびって日本人のソウルフードなんですよね。おむすびマジックがここでもバッチリ描かれています!


 
「アタゴオルは猫の森」(2006/10/20 テーマ:ロマンティック)

30年間も連載されているコミックの初の映画化。それだけの年月をかけてたくさんの人の心の中で熟成された熱い想いを満たす作品にしなければ...なわけで、それは大変なことです。そんなプロジェクトX並みのロマン溢れる3D-CGアニメが「アタゴオルは猫の森」です。アタゴオルでは、人間と猫が仲良く暮らしています。どこにでもトラブルメイカーというのは居るもので、アタゴオルのトラブルの種はヒデヨシというデブ猫。このエピソードではヒデヨシは食欲に負けて、植物の女王ピレアの封印をといてしまいます。このピレア、すんごい優雅で美しくて歌がうまい!人も猫もうっとり、超ロマンティック。でも実は世界を支配することをたくらんでいるのです!さぁどうなる?...というお話。まぁヒデヨシくんの憎めないこと!要するにアホなんですけど、それだけに、みんなが忘れてしまっている大切なことや固定概念を覆すことを言うんです。しかも無意識に。ただみんなに迷惑かけてるのにも気付いてないだろうけど(笑)。最近には珍しくテーマがとてもストレートなので、たくさんの子供に見てもらいたい。もちろん大人にも見て欲しいです。というのが、実は倒される立場にあるピレアでさえ、言っていることに悪気がないんです。全ての生き物を植物にしようとするんですけど、それは植物のほうが悩みも苦しみもなく心穏やかに生きてゆけるから、なんですよね。だけど、苦しみがあるからこそ「生きている」実感があるのかもしれないし...。全方向から見て正しいことなんて無いのかもしれない。ほら、深いでしょう?だからこそ30年も愛され続けているのでしょうね。ちなみにアタゴオルファンだという石井竜也さんが本人の役で出てきます!そのライブシーンでエキストラが必要だってので、なんとあたくし、初めてアフレコに挑戦させてもらいました。黄衣猫ちゃんという村猫の役です。分かる人は聞き耳たてて映画見てみてね。


 
「UDON」(2006/09/20 テーマ:JOY)

みんなで食事中に、一番幸せだなぁって感じる時っていつ?って話題になりました。やはり満場一致で「おいしいものを食べている時」という結論に。具体的なメニューは違ったり、人によって特定のシチュエーションなどがついてきたりはするものの、やはり「食」というのはずいぶん感情を左右するものです。「かもめ食堂」の紹介の時にも書いたけど、やっぱりおいしいものは全てを○にしてくれるんですよね。今日紹介する「UDON」という映画は、ズバリ「讃岐うどん」がソウルフードとして登場します。言わずと知れた「うどんの聖地」香川県が舞台。うどんしかないのがイヤで、故郷を飛び出したユースケサンタマリアが、昔なじみで今は広告代理店に勤めるトータス松本や、どんくさい地方誌ライター小西真奈美やラーメンズ片桐仁らと「地元うどん」に突出した雑誌を作り始める...というお話。有名うどん店やらブームにのったヘンテコうどんまで、たくさんのうどんが出てきます。そしてたくさんの人がそれぞれの状況でそれぞれに味わううどんの味。おわかりでしょう?料理ってシチュエーションで味がグッとかわります。人情が入ってくるわけです。悲しいうどん、落ち着くうどん、懐かしいうどん、笑顔を連れてくる喜びのうどん...。ちなみに私が幸せを感じるのは(もちろんおいしいものを食べた時もそうだけど)「もう〜っほんまに〜」と笑顔で誰かに対して愛あるタメイキをつく時。この映画、なんとこっちの幸せ感もバッチリ描かれてるんですよ。事のなりゆきを見つめている鈴木京香は、ほんと、お父さんにも旦那さんにも弟にも、みんなに対して「もう〜っほんまに〜」の笑顔をふりまいているのです。きっと幸せな人生やで。
オマケで言うと、同じく本広克行監督「サマータイムマシンブルース」のズッコケ3人組や未来人も、そのまんまの役で登場します。「サマータイム〜」を見てからだとさらに小ネタを拾えて楽しいかも!


 
「夜のピクニック」(2006/08/20 テーマ:Sweet)

恩田陸「夜のピクニック」読みました?本屋の店員さんが「今一番読んでもらいたい」本を選ぶという『本屋大賞』を受賞した小説です。「博士の愛した数式」や「東京タワー」も受賞している、あれです。ワタクシ読んでません。ベストセラーなんていわれると読む気がなくなってしまう悪いタチでして。
舞台はある高校の、夜を徹して80キロを歩き通すという、高校生活最大の一大イベント「歩行祭」。夜をまたぐということは、修学旅行よろしく「恋バナ」に花が咲いたり、告白するしないの決戦の日だったりなわけです。そんな中、主人公の貴子は、3年間一度も話せなかったクラスメイトの西脇融に声をかけようと決心しています。西脇も貴子を意識しているのは事実。ただしこれはどうやら普通の片思いとは事情が違うらしい。お互いに胸に秘めたわだかまり。思い込みと意地が秘密を増やして言葉数を減らしていく。そして・・・。言い出したいのに言えないもどかしさ。どうして言ってくれないのかという寂しさ。打ち解けた時のすがすがしさ。あぁ、甘酸っぱい。まさしく青春!そして80キロのゴールは、実はスタートゲートでもあるのです!青春!青春や〜!あぁきっと原作も素敵なんだろうなぁ。全ての登場人物の気持ちの描写が読んでみたい。丁寧なんだろうなぁ。そういえば「博士の愛した数式」も、たおやかで素晴らしい映画でした。きっと原作の日本語が素晴らしいからこそ、こういう質感になったのだろうなって、あ、ちょっと読んでみたいかも、原作の日本語に触れてみたいかも・・・そう思える映画でした。とはいえ、変な意地もありまだ読んでないんですけど。分かってるんですよ、読んだらいいねん。「夜のピクニック」も「博士の愛した数式」も。たかだか本1冊ごときに大袈裟にひとりもがいてしまう。汗の匂いとシャンプーの匂いが混ざったかのような、甘酸っぱい青春まっただ中の香りが、1シーン1シーンに立ちのぼる映画です。


 
「初恋」(2006/07/20 テーマ:WILD)

1968年に起きた3億円事件は女子高生が犯人だったという小説「初恋」が映画化されました。実は事件についてほとんど知らなかったし小説も読んでなくて、ただ主演の宮崎あおいが好きなので見てみたのです。極道モノとか刑事モノとかけっこうワイルドでハードなのを想像していただけに、びっくりしました。タイトル「初恋」まんま、実は初恋の話なんです。皆さんはぜひ事件のことは忘れて見てみてください。その方が、丁寧に描かれている幼い恋の起承転結をしっかり感じられると思う。主人公は女子高生みすず。初恋の相手は新宿のJAZZ喫茶で出会った東大生の岸。みすずが恋心を暖めている中、仲間が学生運動に巻き込まれ、岸に現金輸送車から現金を強奪する計画を打ち明けられるのです。実行の日が近くなると、みすずはある不安に襲われます。それはこの計画がうまくいけば、もう二度と岸には会えないかもしれないということ。現金よりも計画がうまくいくかよりも、岸を慕う気持ちに心をとらわれているのです!出会い仲良くなり二人の秘密ができて...。徐々に進む関係に要所要所でみせるみすずの表情がそりゃぁ素敵です!一番好きなのは、みすずが岸に頭をなでられるシーン。安堵感とか切なさとか色んな感情のピークがあそこには集結してる!未熟な表現って胸をうちますね。岸にしても、あれが精一杯の愛情表現だったのかもしれないし。未熟とも言えるけど、すんごい清純なんですよね。しかも詩集に走り書きのように書いた未熟な愛の言葉は、みすずにちゃんと届くのです。届いたとしても、永遠に失われたままですけど。うわーこれぞ初恋だわ。この事件で奪われた3億円は実際まだ1円も使われていないそうな。お金目当ての強奪ではなかったってことでしょう?ますます映画の筋書きが本当の事件の真相のように思えてくる。だとしたら、犯人は初恋に心を捕われたまま暮らしているかも。「心の傷には時効がない」という宣伝文句にやられました。


 
「嫌われ松子の一生」(2006/06/20 テーマ:リラックス)

「嫌われ松子の一生」の松子は、その思い込みの激しさゆえ全てをあきらめる晩年まできっとある意味張りつめた一生だったのだと思う。リラックスなんてしたことなかっただろうなぁ。笑えるほどの思い詰め具合とかテンパリ具合とか突っ走り具合を見ていると、まるで自分を見ているようで怖くなってきました。松子はもともと学校の先生でした。だけど、修学旅行で事件がおきてクビになり、松子の波瀾万丈の人生が幕をあけるのです。あとはもう全てが悪い方向へと回転し始めます(こういう時ってある!)。最初に松子が同棲したのはクドカン演じる小説家の卵。これがヒドい男で!だけど、彼の才能(ほんとにあるのか?)に惚れ込んでしまっている松子は、言われるがままに風俗に働きに出かけたり、殴られるのに耐えたり...。挙げ句、最後はいつもエッチですわ。これで解決。なんだとー?ハッキリ言ってこんな男最悪。でもなんか分かるわぁ惚れた弱みですよね、なんていう私もいる事実。で、原稿用紙の真ん中に「生まれてきてごめんなさい」と1行残して、線路に飛び込み自殺。この死ぬ瞬間のクドカンの表情がたまらない。雨の中に捨てられた犬みたいで素敵!なんていう私もどうかと思いますが。とっても印象的だったのは極道と同棲中の松子の一言。「殴られたって独りよりマシ」。ガーンでしょ?でももっとガーンなのは、こんな一言にさえ、分かるわ〜なんて思ってる私。残念ながら分かっちゃうんだもの〜。あたし松子みたいになっちゃうかも...。もうひとつの「分かるわ〜」は、超ハッピーラブリ〜♪な時の脳裏に花がパァ〜っと咲く感じ、分かります?それがCGで再現されてて、しかもそういう時のことを私は「オーケストラが鳴る」って呼んでるんだけど、松子はまさに歌を歌いだすのです。そのアホ加減も自分みたいで笑いました。まずいなぁ、あたし。おっと、これが思い込みの始まりだわ!くわばらくわばら、松子になったらアカン!


 
「かもめ食堂」(2006/05/20 テーマ:CUTE)

オール・フインランドロケ。小林聡美、片桐はいり、もたいまさこ出演。タイトルは「かもめ食堂」。文科系女子が見に行くのには、これでもう十分な情報ではないでしょうか?かわいいだろうけど、かわいいだけじゃないはず!そんな期待を胸に見てみました。やっぱり町並みから食堂のテーブル食器エプロンなど小道具まで、いちいちかわいい!!マリメッコ祭。こころときめきますよ。ただしそれって入り口でしかなくて、やっぱりかわいいだけじゃぁありませんでした。笑えるだけじゃぁありませんでした。小林聡美がヘルシンキでやっている日本の家庭料理のお店「かもめ食堂」が舞台。ほんっとにおいしそーなご飯がいっぱいでてきます。絶対お腹すいてる状態で見に行かないほうがいいよ。グルグルお腹が鳴ると思う。仕事でも人間関係でも恋愛でも、リセットしちゃいたいぐらい本当に行き詰まることってあるでしょ?だけど、ひとしきりワヤクチャになったあと、急にお腹がすいたことに気付いて口にした、あったかい煮物の柔らかい食感に癒されたこと、ありませんか?泣き疲れた後ひとかけらのチョコレートに癒されたこと、ありませんか?いきなり万事快調になんてならないけど、顔を洗ったり歩き出したりするための、ささやかな元気をもらえたこと、ありませんか?どこの国の人も色んな悩みをかかえて生きているんだろうけど、おいしいごはんを食べたら、なんかそれでひとまずオッケーになっちゃうんだなぁって思いました。いちばん印象深かったのは、フィンランド人のおじさんが胸についたご飯粒を食べて、顔をあげて、家路につくシーン。あの一粒って絶対おいしかったはず!ほんで絶対今日よりちょっと明るい明日があったはず!ラストに流れるテーマ曲の井上陽水がまた最高!ほんとは見る前は、かわいい音楽つかえばいいのに、なんて思ってたのですよ。しかし!あのラストに流れるべきなのは井上陽水ですわ。まいった!


 
「ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR」(2006/04/20 テーマ:ナチュラル)

人は生まれながらにして心の中に善と悪、光と闇が存在すると思います。そのバランスは人それぞれで見え方も人それぞれなんでしょう、きっと。そこでピックアップするのは「ナイト・ウォッチ/NOCHNOI DOZOR」。もう見ましたか?そう、イギリスにおけるトレインスポッティングのようにロシアのユースカルチャーに大きなショックを与えたという、あの映画です。監督はロシアのタランティーノの言われる若手ディレクター、ティムール・ベクマンベトフ。いやー私の中のロシアのイメージがガラガラと崩れました。パリのロマンティックなスケートリンクで大音量のマカレナを聴いた時のようなショックです。でも当然といえば当然ですよね、日本だって京都&相撲のイメージで思われていても、実際はジャパニーズHIO HOPもテクノも大流行りなわけで。おっと話がそれました。とにかくマトリックスもびっくりの映像!かっこいいの!マイッタ!ストーリーは、スターウォーズとロードオブザリングとナルニア王国をミックスした、ストリートサイバーファンタジーって感じ?舞台はモスクワ。超能力を持つ「異種」と呼ばれる人種が、光と闇の2つの派閥に別れて勢力争いをくりかえしてきたのだけど、お互いが悪事を働かないように監視しあうという協定を結んだんですね。それで微妙なバランスで世界秩序が保たれてきたのです。が、伝説の「災いを招く乙女」が現世に現れ、さーどうなる?!正直いいまして、映像も設定もとにかくスケールが大きいので、そのわりにウソーと言いたくなるようなあっけない終わり方なんですけど、それもそのはず、3部作の導入でしかないのですよ。まー度肝抜かれて下さい。早く続き見たい!だって伝説では闇が勝つらしいのよ。闇を追い払うより光を遮るほうが楽だから。確かに何かに迷ったときってあきらめるほうが簡単やもんなー、なんて人の心に置き換えて考えたら目眩しちゃう。


 
「好きだ、」(2006/03/20 テーマ:HEAVY)

「告白しなかった恋は、どこへいくんだろう」こう書かれたバレンタインのポスターの前でハッとしました。わたし、本当に言えないのです。言えずにどんどん溜め込んでしまって、どんどん重い感じになって。そしたら重いのが分かるから、余計に言えなくなって。もう最悪です。これがまた歳を重ねるにつれて、どんどん重症になっていってまして。やだ、冒頭から乙女チックに何を言ってるんでしょう、ちょっと気味悪いですよね。ケロケロ。
宮崎あおいちゃんが大好きで「好きだ、」という映画をみました。宮崎あおいちゃんと瑛太くんが主演です。お互いになんとなく言い出せずに、あまのじゃくなことをしてしまう初々しい高校生を演じているんですけど、いやー演技じゃないと思うな、あれ。川べりで放課後デートを重ねるんですけど、キュンとなるというより、照れくさくって見てられないですー。分かりすぎるんですよね。フラッシュバックしすぎるんですよね。それから17年後、30代になった2人がふとした事で再会するんですが、大人の2人を演じているのは西島秀俊と永作博美。あの日に伝えられなかったお互いの気持ちが17年の間、ずっと心の奥底に実は眠っていたのだと、気づく2人。だからといって...。大人になった2人もやっぱり歯がゆい。これはこれでズッシリとした重みをもって迫ってきます。だって、わかるもん!恋心なんて言葉自体がはずかしいし、17年もの時を越えて存在する気持ちとか有り得ないだろうって思うし、そんなこと思ってる自分もちょっとロマンチックでバカバカしくも思えるし。現実的じゃないな。でもね、でも結局思い出すのはあの人・・・いつも戻ってしまう恋ってあるんですよね。とか書いてる自分もイヤなんですけどー。こんな自分が色んな意味でキツい=ヘビーです。でもいいんじゃないかなぁ、たまには。いつも鼻で笑ってしまっている人(もちろん私)も素直になれて。そんな映画です。


 
「あおげば尊し」(2006/02/20 テーマ:POP)

ポップ・ポピュラーを「誰しもが共感できるもの」と解釈してみます。不謹慎だと怒られるかもしれないけど、冠婚葬祭の中で一番ポピュラーなのは、きっと告別式じゃなかろうか。
「あおげば尊し」という映画を紹介します。主人公は、小学校教師のテリー伊藤。末期ガンで余命幾ばくもない父を自宅で看取ろうとしている。父も教師だった。かつては嫌われることを覚悟のうえで、厳しく指導してきた父が衰弱していく様を、ただ何も出来ず見守るしかない苛立ち。一方、学校にいくと生徒達の間では死体写真をインターネットで見る事が流行り出している。小学生には死というものの意味が分からないのだ。だけど「どうして死体の写真をみちゃいけないの?」という小学生の言葉に、自分もはっきりとした理由を言えない。子供というのは本当に残酷なもの。子供の目にさらされると、曖昧な部分に向かい合う他なくなります。死ぬというのはどういうこと?老いるとは?お父さんは必要な物ないのかなというテリー伊藤に、妻である薬師丸ひろ子が言う台詞が、とても印象に残っています。「きっと、何かを欲しいとか、誰かに会いたいとか、そういうのって、すごく体力がいるものなのよ。死ぬときは、そういう気持ちが残らないようにできてるのよ、ちゃんと。」というような内容。最後の告別式のシーンでまた心の中でその台詞が甦りました。人生の長短は人それぞれだけど、実は亡くなる時には色んな事が±ゼロになるのかも。人から受ける喜怒哀楽も与えるそれも。生涯を通して見渡せば全てバランスがとれた±ゼロだ。
とても厳しいことで有名だった小学生の時の恩師を思い出しました。数年前、突然電話をくださったのですが、その声がか弱い老人の声だったので私はショックで、すごくイヤだった。でもこの映画を見て、先生の人生を受け入れてあげられない自分の小ささに気づきました。悲しみでさめざめというのではなく、不思議なくらい穏やかに目頭があつくなる映画です。


 
「スクールデイズ」(2006/01/20 テーマ:BITTER)

ポラリスのオオヤさんが初めて映画音楽を担当、しかも監督は守屋健太郎さんという、私にとってはポラリスのPVで馴染みの方。さらに、なんと森山未來初主演作になるのだと!それはそれは楽しみで!待ちに待った「スクールデイズ」という学園映画がようやく公開です。森山くんは、いじめられっこの高校生だけど、実は元・天才子役。一世を風靡しながらも両親の離婚問題に巻き込まれ「普通の子供に戻りたい」と8歳で引退。現在、再起をかけて超人気学園ドラマ(←金八先生みたいなね)「はみだし!スクール★デイズ」に出演中なのです。しかもドラマの中でも弱虫でいじめられっこ(笑)。不良に因縁をつけられている時のオロオロした表情がリアルだったり、ドラマの中の熱血教師の台詞に、役柄を越えて本気で勇気づけられて涙を流したり、本当にいじめられているおかげで素晴らしい演技の連続!ただ、あまりにもリンクするため、また演技に没頭していくために、だんだん現実とドラマの境界線が見えなくなってバランスが崩れた結果、引き起こされるある出来事...。これがどうもリアルで怖い。近所で起きてしまいそう。さらにラストシーンのちょっとコミカルなかんじが、また逆に怖い。笑えない。ニガイニガイ。とはいえ、とにかくおもしろい!細かい配役とか小道具とかまで、すべてが過剰なの。なにより、ドラマの中で熱血教師を演じる孤高の俳優役の田辺誠一がキレてます!ふりきってる!その教師と、松尾スズキ演じる実際の先生のサラリーマンぶりの対比も最高。もちろん森山くんもすごい。彼のピュアでいて、なにか踏み外してしまいそうな危うさが、本当に魅力的です。そして、私が見るきっかけになった音楽のことだけど、オオヤさんの情緒豊かな音楽がズッコケ〜シリアスシーンまで見事にフィットしていてこれまたすごい。劇中ドラマでも映画でも主題歌となっているハイロウズのナンバーも素晴らしい!オススメです。


 
「博士の愛した数式」(2005/12/20 テーマ:ゴージャス)

とても豪華なスタッフ・キャストによって、慎ましやかな美しい心が描きだされた映画「博士の愛した数式」を紹介します。原作は芥川賞作家・小川洋子のベストセラー。監督は「雨あがる」で日本アカデミー賞を受賞した小泉堯史監督。そして寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子という素晴らしい俳優陣!完璧です。まず、寺尾聰演じる主人公の数学博士は交通事故による「記憶が80分しかもたない」というハンデを背負っています。そこに新しくやって来た家政婦・杏子が深津絵里。いつしか息子の齋藤隆成も学校帰りにやってくるようになり、毎日「初めまして」を繰り返しながらも、それなりに穏やかな日々が流れ始めます。博士は数学をまるで物語を話すかのように家政婦親子に聞かせます。これがとっても数式に対する愛情に満ちていて、数学の美しさを実感させてくれました。ワタクシもちろん数学はサッパリですが、数学の無駄がないスマートさって独特だなぁと思います。でも円周率みたいに無限に広がるものもあるんですよね。そしてその割り切れないところがポイントになる、ずばり博士の愛した数式が鍵となって出てくるのです。そう、博士が背負っているのは記憶障害だけではなく、もっと人間臭い運命ともいうべき一生償えない罪。80分後に記憶が振り出しに戻るなら、どれほど孤独だろう。だって、どんなに楽しいことがあっても誰かと心が寄り添っても、全部忘れてしまうんだから。ならば全てをあきらめ何も求めず、寂しさだけを感じて思い出を胸に、ただ生きていくのみ。それがまた償いにもなる。博士はその人間関係をも数式におきかえて自分を納得させ説明しているのです。だけど、人っていうのは計算通りじゃない。良い計算外の変化も生むものなんです。私、本当に静かに感動しました。さぁ貴方は博士の愛した数式の意味をどんなふうに感じるかしら?まったく文系の私はこんなふうに解釈しましたのよ。


 
「アメノナカノ青空」(2005/11/20 テーマ:COOL)

「アメノナカノ青空」という韓国映画を見ました。不覚にも涙が出ました。愛するってどういうことなのかなぁって考えます。主人公は女子高生のミナ。生まれてからずっと入院生活をしてきて、最近やっと普通に学校に通えるようになったけれど、なんとなく学校に馴染めない。ある日同じマンションにカメラマンのヨンジェが引っ越して来て、だんだん気持ちが近づいて行く2人。ヨンジェが撮るミナの写真がまたいいんですよね。2人の距離の変化がよくわかるんです。でも恋愛よりも私はミナの母親の愛情がとても胸に響きました。実はそんなに長く生きる事ができない我が子に、そのことを隠して気丈にふるまう母親の愛情。残された時間に、せめて普通の女の子が経験するような学校生活や恋愛や旅行などをさせてやりたい...。最愛の人がもうすぐ死んでしまうのだと分かったとき、どうするでしょう。私は基本的に好きになるとその人が喜んでくれる事をしたくなるんだけど、苦しむだろうな。たぶん選択肢はいくつか出てくるだろうし、とても悩むと思う。愛していたら迷わないでいられるのかな。きっと弱いから、もう最後なんだと思ったらわがままになってしまうかもしれない。情けないけど。だけど、強さと弱さと綺麗なところと汚いところ、両方あるのが人なのだと思う。日本版主題歌になっているセカイイチの「虹」という曲はまさにそういう曲。しかも初めて聴いたのはずいぶん前のライブだったんだけど、その日の日記帳に私は前述のようなことを書いていた。だから映画を見てそのシンクロ具合にドキリとしたのです。今回の誌面のテーマはクールですよね。クールというのは私にとってはシャキッと背筋が伸びるような格好良さ、グッと正面を現実を見据えるひたむきな美しさ。だとしたら、このお母さんの選択と、そして最後に流れるセカイイチの歌は、最高にクールだと思う。愛ってクールであるものなんだな。尊敬。


 
「SCRAP HEAVEN」(2005/10/20 テーマ:CRAZY)

本当に申し訳ないと思っているという事と、まったく悪気もないのだと明記したうえで。えー正直な話、現在わたくし久しぶりに熱など出しまして床に伏しております。なんと、何かを考えようとするとアタマが痛み吐き気もするのです。これは初めての経験でしてかなり動揺してます。だってすでにこの原稿の締め切りを過ぎているんですもの。本当にごめんなさい。しなきゃいけない事いっぱいあるし、現状打破のためにしたい事も考えなきゃいけない事もいっぱいあるし、時間ないのに。熱なんで下さがらんのかしらん。あ〜いっそ全部やめちゃったらあたしの人生どーなるんかなー。いやいや「あたし」自体をやめちゃったら楽かな。風邪ごときでたいそうな!と怒られるかもしれないけど、幸せそうに見える人ほど鬱蒼とした想い・爆弾の火種を持っているものだったりするのですよ。ちょうど見たばかりの「SCRAP HEAVEN」も、かなり切れたキャラのオダギリジョーと、デスクワークに不満がはち切れそうな警察役の加瀬亮が、うっぷん晴らしにちょっとしたイタズラをする話です。ですが、だんだん過激になってきて、気づいた時にはもう後戻りできないところまで来てしまっているのです。まぁしかしオダギリジョーのキレっぷりには、まいっちゃいますね。かなり危ない。わざとらしくも感じるんですけど、あの人普段からあぁいうオーラが少なからずあるらしいですよね。ずいぶん前に、ある映画の取材の時に派手なバスローブで現れたらしいです。しかも風呂上がりとか衣装とかそんなんじゃなく、単純に普段着らしい!飛んでます。とはいえ、普通の人を演じさせると抜群の加瀬くんのほうが、実は役柄上も実際も、危険でクセがあるんじゃないかな〜なんて思ったりするわけです。この映画、やはり主役は普通の人の加瀬君で、最後は・・・。エンディングを「救われた」と思うか否か、人それぞれでしょうけど、その判断で貴方のクレイジ−度が計れるのでは?


 
「チャーリーとチョコレート工場」(2005/09/20 テーマ:センチメンタル)

「チョコレート工場の秘密」が映画になりました!ってだけでセンチになっちゃう人もいるでしょうね。だって世界中の子供に愛され続けるロングベストセラーなのですから。しかもね、監督はティムバートン!主人公の天才的チョコレート発明家ウォンカを演じるのはジョニーデップ!!そのウォンカさんは、とても純粋で良い子なチャーリーに触れて、蓋をしていた子供の頃の記憶を思い出しては、おセンチになって表情が曇るのです。まぁしかし、ティムバートン×ジョニーデップですから、本当にドリーミー、メルヘン、ファンタジー!そしてもちろんちょっぴりシニカル。さらにやっぱり、ウォンカさんのチョコレート工場の中はまるでおとぎの国。チョコレートの川・滝、カラフルなキャンディの木、砂糖菓子の船!ナッツの皮を剥く作業をしている大勢のリス達。淡い水色の丸く広い部屋で輪になって、茶色のリスがひたすらナッツをトントンットントンッと叩いて選別しているさまの可愛らしい事!良い音がしない時は首を傾げてポイッ!色合わせも最高!北欧万歳な感じです。大道具・小道具・衣装全てがいちいちとっても可愛いのです。また工場で働くウンパルンパの摩訶不思議な歌とダンス。クスっと笑いながらもどこか笑えないブラックユーモア。様々なチャーミングなビジュアルに目を見張り、おいしそうなお菓子にツバをのみつつも、ちょっとずつ提示される大切なこと。そして最後にはホロリ。これぞティムバートン作品の醍醐味ですね。ビートルジュース以来のファンにはたまりません。「家族」という言葉自体が悪寒が走る、というウォンカさんの冷淡だけど無邪気な感じ。あぁなんか大人ってこういうモノかもなぁと思います。ちょっと自分にも通じるところがあったりして自己嫌悪になりそう。またチャーリーとおじいちゃんが良い人でね、それでもさらに自分の黒さをまざまざと思い知らされるんですよ。あたしは絶対この工場からは無事出られないな。あーへこむ。


 
「リンダリンダリンダ」(2005/08/20 テーマ:SMART)

何事もスマートなのはとても美しい。逆にがむしゃらで、ぐちゃぐちゃで、鼻水たらしちゃうくらいなのも、とっても美しいと思う。「リンダリンダリンダ」という映画を紹介します。ある女子高生達が文化祭でブルーハーツのカバーをしようとするんですが、韓国からの交換留学生がボーカルになったり、どきどき恋模様もあったりで、さぁどうなる?大騒ぎ!ってお話。この映画、音楽はジェームスイハが担当だったり、くるり岸田君らに絶賛され話題の潮音ちゃんが歌うシーンがあったり、元ブルーハーツ(現ハイロウズ)ヒロトの実の弟さんが先生役だったり、音楽ファンの目を惹く情報だらけ。さらに映画の中でブルーハーツの曲が最初に流れる時のシーン設定とか、軽音部の部室に貼ってあるポスターとか、会話に出てくるアーティスト名とか、ニヤニヤしちゃう小ネタも満載。話はというと...まぁよくある話なんだけど、でも、なんだかわかんないけど夢中で笑って楽しんで見ちゃう。それはきっと、軽音部の女子が喧嘩してる感じとか、懐かしいなぁ、あったあった、って思えるところがいっぱいあるからかな。でね、ハッとしたんだけど、「時代がかわったなぁ今の高校生が考えてる事ってワカラン!」なんてニュースとか見て世間話しがちだけど、実は私たちが高校生だった頃に感じていたことを、今の子達も感じているんじゃないかなって思ったんです。青い気持ち。しかもきっとこの青い気持ちって万国共通だと思う。世界中様々な考え方があるとしても。目の色が違っても、肌の色が違っても、信じる物が違っても、きっと青い気持ちは皆が持っているはず。それをこうして共有する・・・ほんとに交わるってことだ。ほんとの国際交流ってきっとこういうことなんだな。なんかね、そこに気づかせてくれた映画。しかも道徳映画のような押しつけ感をまったく抱かせずに、スマートに気づかせてくれた。教科書には載っていない、教室では教えてもらえないことをね。


 
「スターウォーズ エピソード3」(2005/07/20 テーマ:カラフル)

人の心の色は種類が無限代だと思う。怒りの色は赤?濁った血のような赤かもしれないし、炎の赤かもしれない。そもそも赤ではなく青かもしれない。想像する色は、まさに人によって色々。そんなことをスターウォーズエピソード3をみて思いました。表情のグラデーションがすごい。どんどんかわっていくの。この1作の中でもそうだけど、エピソード1を見た時に感じた、はたしてこれが前の3作に繋がるのだろうかというあの違和感が、全くなくなりました。特にキャスティング。すごいのはオビワンケノービ。ユアンマクレガー?なんて思ってたけど、表情がまさにオビワンになっていくんですよ。経験が人の顔を作ると思うんだけど、このエピソード3で描かれる経験がオビワンにかなりの人生経験を積ませるってことです。エピソード3ではダースベイダーが生まれる行程が描かれているんだけど、結局はアナキンスカイウォーカーが、妻のパドメと生まれてくる子供の命・3人での暮らし、という心から愛するものを守りたくて頑張った結果、それが裏目に出てしまって全部を失い、自分もダークサイドに引きづり込まれダースベイダーになってしまうわけです。そしてそれによって宇宙の平和さえも失われてしまうのです。つまり愛情が深すぎて、失いたくないものを失うのが怖くて、結果全部を失ってしまう男の話。でも、その気持ちっていうのは誰しもが持っている気持ちで、そのバランスが大事なんですよね。バランスが崩れると全てが崩れる。表裏一体です。ジェダイとシスは表裏一体。「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」がジェダイなら「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」がシスなんですよ。すごーい。やっぱりスターウォーズはただのファンタジーでも宇宙ものでもないんです。命題が深い。愛の話なんですよね。だからスキなんだけど、それを再確認できました。怖いのは、失うのを恐れる気持ちですね。あたし、なんか出来る気がしてきたー!


 
「緑玉紳士」(2005/06/20 テーマ:CUTE)

かわいいねー、パペットアニメーション/クレイアニメーション。といえば、チェブラーシカや、ウォレスとグルミットとか、ナイトメア・ビフォア・クリスマスなんかがまず思い浮かびますよね?とってもかわいいパペットアニメがまた誕生しました。しかも大阪の監督・栗田やすおさんの作品です!!この「緑玉紳士」という48分の映画、なんと4年半もの製作期間を経て完成した超大作です。まず製作に1年以上かけたというセットも大・小道具もとーっても凝っていてびっくり。床がホンモノのフローリングだったり、ギターに1本1本ちゃんと弦がはってあったり!あほか!と言いたくなるようなこだわりよう。でもその甲斐あってホントにかわいいです。ストーリーやネーミングもユーモアたっぷりなのよ!主人公は緑色の丸い生き物「グリーンピース」。眼鏡職人でヘンテコな眼鏡をトランクに入れ、露天で売り歩いている。この陳列台になるトランクがまた可愛い!観覧車みたいでカラフルな眼鏡がたくさんぶらさがっているの!欲しい!陳列台ごと欲しい!一つ一つの眼鏡もめっちゃ可愛い!レンズの中を魚が泳いでいたり、ポラロイドカメラと一体化してたり!ぎゃー!欲しい!で、お話としては、眼鏡マニアの悪魔にそのトランクを盗まれちゃって、取り返すための大冒険・大乱闘が繰り広げられるわけです。なんなん?眼鏡マニアの悪魔って・・・(笑)。発想が可愛いすぎる。で、音楽を担当しているのは中塚武。ジャジーです。オサレです。そしてグリーンピースの声を担当しているのは、ワタナベイビー!弱いです。ポップです。エンディングテーマもワタナベイビー!弱いです。ポップです。そしてやっぱ可愛い〜!けどそのウラで血を吐くような、地を這うような4年半があったのだと思うと涙!


 
「サマリア」(2005/05/20 テーマ:MELLOW)

MELLOW=熟す。女の子と男の子では、女の子の方が大人になるのが早いっていいますよね。確かに中学生のころとか、男子がバカバカしくみえたように思います。
「セックスのとき、男はみんな子供になるのよ」なんていう、ちょっとビックリする台詞を主役の女子高生が冒頭にのたまう「サマリア」という韓国の映画を紹介します。ヨジンは父と二人暮らしの女子高生。親友のチェヨンはいつからか援助交際をしている。ある時、警官の取り締まりから逃れようとチェヨンが窓から飛び降りて死んでしまう。ヨジンは罪滅ぼしの気持ちで、チェヨンの取った客達と順番に寝て、さらにチェヨンが貰った金も返してまわる。そんなヨジンの行動に気づいてしまった父親は彼女を尾行し男達に報復を与えていく。父親の行為は徐々にエスカレートし・・・。
少女の中に芽生えた少しばかりの母性が間違った方向に向いて走り出してしまっても、その母性を過剰に自覚しているオマセサンには、自分と反対の意見がすべて子供に思えてしまうので、誰にもとめられないんですよね。でも間違いは間違いなわけで、気づいた時には最初の小さな間違いは、深い罪悪感を心に刻みこみ、さらに大きなゆがみを生んでしまう。そうなると、もうその運命のようなものから逃れる事はできません。2人の少女の幼い笑顔とバックに流れる美しい音楽は、見ていて胸が張り裂けそうです。出てくる人は父親も含めて全員、自分は人間として熟していると思いながら、実はバランスが崩れているんです。人間ってそんなものなのかもしれません。一生勉強なんですね。
まぁしかし映像の美しいこと!女子がかわいいこと!例えば岩井俊二監督の「花とアリス」が好きな人は、是非見て下さいね


 
「エターナル・サンシャイン」(2005/04/20 テーマ:SEXY)

ジム・キャリーってセクシーですね。「エターナル・サンシャイン」を見て初めて思いました。突然ジム・キャリーが恋人にふられるんです。しかも彼女は、業者に頼んで自分の中の彼の記憶を消去してしまったのです。ショックを受けた彼も、自分の中の彼女の記憶を消す事を依頼するのですが、その作業中に、記憶の中の自分が「この思い出だけはどうか消さないでくれ」と願い、業者に捕まらないように記憶から記憶へと逃げ回るんです!なんてロマンチック!はっきりいって有り得ない奇天烈なストーリーだけど、そんなの気にならないほど、むしろ泣けるほど、とにかく切なくロマンチックな映画でした。さすがミシェル・ゴンドリー監督!映像もおもしろいし、「ああそういうことか」が、とても分かりやすい。
でね、思い出っていうものが、どんなに人をしばっているのかということを考えたわけですよ。やっぱり思い出のなかの出来事や恋人は、回想するたびにどんどん美化されていくでしょう?そうしたら忘れたいって思っても忘れられなくなるし、たとえ忘れたようであっても、実はすぐに思い出せるところに保存されてしまっていて、その感覚っていうのは克明に思い出せたりするんですよね。だから、きっと思い出を業者に頼んで消去してもらったって無駄なんですよ。出会うべきものは出会い、始まるべきものは始まり、響かないものは響かないわけです。あぁ狂おしい!
ジム・キャリーの他にも、ケイト・ウィンスレットやイライジャ・ウッドなど、個性的かつ魅力的な人達が出演しているのもみどころ。大人のためのおとぎ話のような、ステキな映画ですよ。恋人同士で見たらいいんじゃなくて?ぐふふ〜。


 
「BEFORE SUNSET」(2005/03/20 テーマ:リラックス)

95年の「BEFORE SUNRISE(邦題:恋人までの距離)」の続編「BEFORE SUNSET」が誕生しました。前作は、旅の途中に出会った男女のウィーンでの夕方から夜明けまでの14時間を描いたものでしたが、今作はその9年後に再会してしまった2人のパリでのたった85分間をリアルタイムで追いかけています。主演はもちろん前作と同じイーサン・ホークとジュリー・デルピー。最初は久しぶりとはいえ、別に会いたかったわけじゃないし、リラックスしている風を装いたい2人がいます。でも実は全然緊張してるんですよね。ちょっとした言葉使いとか気をつかいあう感じが、肩に力が入っているんです。それがどんどん変わっていくわけです。とても自然に。
とにかく85分喋りっぱなし。すごい!この9年にお互いが体験した事や、あの日のこと、また再会を誓ったのに会うことは叶わなかった約束の日のこと・・・。色んな話を通じて2人の間に行き交う感情の波が、2人の微妙な距離感が、切ないというか、もどかしいというか!お互いのことを本当に愛していて忘れられなかったのに、それぞれに恋人や家族ができた。何より今の環境を壊すにはお互いに大人になりすぎている。でも、割り切れない何か。あきらめきれない何かが、これまた狂おしい!2人の瞳の奥に、確かに言葉にできない想いが灯っているんですよね。いやーすごいなーって思いました。たまらない!たぶん若い人には、ただただじれったく感じられるかもしれないけど、お姉さん方にはコレはキマすよー。めっちゃわかるってもんですよね?ね?おとなは目で語るんですよ。でもこの種の暗黙の了解はスマートで奥ゆかしくセクシーで「今号のテーマ=リラックス」とは正反対なんですよね。ちゃんちゃん。


 
「犬猫」(2005/02/20 テーマ:POP)

POPがテーマ?大衆的?ちょっと意味が違うかもしれないけど「どこにでもある」女の子同士の関係を描いた、どこにでもあるわけではない素敵な映画「犬猫」を紹介しましょう。ひょんなことで二人暮らしをすることになったヨーコとスズは幼なじみ。明るく可愛く料理も上手で女の子らしさ溢れるスズにたいして、ヨーコはメガネで重い前髪で考え込みがちで色々うまくいかないことだらけ。対照的な二人なのに男の子の趣味はかぶってしまう。これといって特別なことは起きないけど、自分のまわりにでもよくある風景とよくある感情が映し出され、まるで女友達の身の上話を聞いているかのような気持ちになる映画です。ゆるやかなのにダレず最後まで飽きずに見れるって、この手の映画には珍しいと思いませんか?可愛いんですよね〜出てくる女の子が。男の子がどう思うか分かりませんけど同性からすると、顔とかいう問題ではなく態度や言動が、スズももちろんだけど駄目キャラのヨーコさえもチャーミングで仕方ない。(自分がヨーコタイプだからかもしれないけど。)ちなみにヨーコ役は榎本加奈子!こんな地味な女子を演じるとはねぇ!これがかなりイケルんですよ。チョイ役で登場する小池栄子もイメージじゃないキャラで、またいいの!監督が女性だということもあってか、女の子の配役がめちゃんこいいです。アタクシ大注目の湯川潮音ちゃんの書き下ろしのテーマ曲も素敵です。まぁ、仲良しも女の子同士で見に行って、あれこれ乙女トークを繰り広げて下さいな。あたしも仲良しさんと見ましたが、友達はスズと付きあいたいと言い出し、私はスズと付きあっても物足りなくなって浮気しちゃいそうだからヨーコが良いと言い張り、ドーナツトークになりそうでした。二人を足して2で割った美味しいとこ取りタイプにならなきゃね、に落ち着きましたけど(笑)。


 
「ニワトリはハダシだ」(2005/01/20 テーマ:WILD)

今号はWILD=「野生のまま」がテーマなんですが、「ニワトリはハダシだ」という、なんとも気になるタイトルの映画を見ました。主人公の重い知的障害をもつ15歳の少年サムは、偶然警察の汚職事件に巻き込まれてしまいます。サムを犯人に仕立てようとする事件関係者たち。もちろん一緒に暮らす父、在日韓国人の母、養護学校の先生が体を張ってサムを守ろうとします。その中で浮き彫りになる家族愛・・・。どんなシリアスな映画やねん、重いわ〜でしょ?たしかにテーマは重くまさに学校で見る映画です。でもテンポがよくて気持ちよくて、事件解決にザマァミロな気持ち。それと養護学校の教師役の肘井美佳、新米刑事役の加瀬亮(♥)がとってもすがすがしい!もちろん原田芳雄、倍賞美津子、石橋蓮司、岸部一徳、笑福亭松之助なベテラン勢あっての若手が引き立つわけですが。主人公のサムと妹のチャルもまた天真爛漫で愛くるしいです。びっくりするくらい自然。で、タイトルの「ニワトリはハダシだ」って何?って話なんですが、ことわざ辞典には「わかりきったことのたとえ」とあるそうなんですが、庶民感情を表現する言葉として地域によって微妙なニュアンスの違いがあるんですって。映画の中ではサムの父が在日韓国人の母に、国籍なんか関係ないさって意味で、プロポーズの言葉として言うんです。生まれてきた時はみんな同じ。だったら大人になったってみんな同じはずなのに。山積みの社会問題は、きっと根本的に解決することなんて出来ないんじゃないかって思います。それもわかりきったこと=「ニワトリはハダシ」ですよね。ただ、分かったうえで問題と向かい合っていくことが必要なんですね。こういう難しいテーマの映画って、大人になって見ると感じる事も違うものですね。たまにはええんちゃう?


 
「靴に恋して」(2004/12/20 テーマ:SWEET)

女の人は大変です。シンデレラ願望を持ってない人はいないでしょうから、甘い誘い水にも魅力は感じるけど、それだけじゃ駄目。どうしても守らなきゃいけないものがあるのです。女性というのは、それに気づいた時、履く靴が変わるのかもしれないですね。「靴に恋して」というスペイン映画を見てそんなことを思いました。夫に先立たれタクシードライバーをして一家を支えているスリッパを履く女や、夫に放ったらかしにされ靴依存症になった女など、色々な立場の5人の女性が主人公です。足元を見ればその人が分かるというけれど、この5人の主人公たちの足元も見事にバラバラ。見る人によってどの女性の人生に共感するかは違ってくるでしょう。私の場合...。かつて靴のデザイナーへの夢を抱いていたレイレは自分が働く店から赤いサンダルをこっそり盗んで持って帰る。ある日同棲中の恋人が喧嘩をして部屋を出て行き、その靴のヒールも取れてしまった。折れたヒールは彼女の恋心であり、恋愛に支配されて、いつのまにか夢を諦めてしまっていた彼女への警鐘でもあるでしょう。お次は扁平足の女・アデラ。いわゆる男の人が遊びにくるクラブを経営しているが彼女自身は決して客をとらない。にもかかわらず、ある日来店した外交官の団体のうちの一人が彼女に好意をもち、連日のように会いにくるようになる。客としてではなく彼女に本当に恋をしたというのです。少しずつ打ち解けていき、このまま結婚するのかしらという時、彼女の娘・知的障害を持つ〜スニーカーを履く女〜アニータが行方不明になってしまうのです。母である前に女だというけれど、やはり母なんですよね。そこで甘いアデラの夢物語はおしまい。結論。甘い夢を見ているのはどっちかというと男の方だ。ほんとに男に女を幸せにできるのかー?なんとかしろ−。ばかやろー。


 
「お父さんのバックドロップ」(2004/11/20 テーマ:ナチュラル)

何度も映画化の話が出ては消え...をくり返していた、中島らもさんの小説「お父さんのバックドロップ」が映画化されました。らもさん自身チラッと登場してるんだけど、完成したのを見て御本人も「滂沱」の涙を流したそうですよ。とはいえ悲しいんじゃなくて、泣き笑いってとこかしら。安心して下さい、ハッピーエンドです!舞台は80年代の大阪。東京から引っ越して来た中年プロレスラー・下田牛之助と小学生の息子・一雄の父子が主人公。根からの大阪人のおじいちゃんと3人で狭いアパートでの生活が始まるんだけど、このおじいちゃん役にチャンバラトリオの南方英二師匠が見事にハマっていて、大いに笑わせてくれます。さすがだなぁと思いますね。牛之助と昔なじみの焼肉屋のおかん役・南果歩さんも自然すぎる。何より子供同士が会話で自然にツッコミ入れてるとこなんてそうそうこの感じ!って嬉しくなりました。いつ覚えるのか子供も大人もホントに普通に毎日がコントなんですよね、大阪の私達って。生活と笑いが密着してる。いつのまにか自分のコンプレックスを笑いに変える術を覚えたり、その姿がまたちょっぴり切なかったり。人生にたっぷりの笑いと少しの涙。...ハッ!これこそまさに浪花節、と同時に、まるでイタリア映画みたいじゃないの!?監督の李闘士男さんはイタリア映画に憧れていて、面白くて活気があって少し切ない、そういう世界をこの映画で作り出したかったんですって!なるほど!でもこれだけコテコテでありながら後味スッキリ、やり過ぎ感がなく自然だと思えるのは、スネオへアーがこの映画のために書き下ろした新曲もまた良かったのではないかしら。どうしてもお父さんの事を好きになれなかった子供時代の事を、大人になった一雄が思い出している歌なのかなぁって、勝手に想像して爽やかな気持ちになってます。この映画のおかげでますます大阪が好きになっちゃった。らもさんフォーエバー(涙&笑)!!


 
「青い車」(2004/10/20 テーマ:ビター)

ARATAと宮崎あおいが共演する、しかも音楽は曽我部恵一でライブのシーンもあるらしい。そんな情報で見に行きました。奥原浩志監督「青い車」。共同脚本に『リアリズムの宿』の脚本家・向井康介。原作は、よしもとよしとも。24ページの短編漫画だそうです。主人公は中古レコード屋で働くARATA演じるリチオ。子供の頃に事故に遭いながらも命を取りとめた過去がある。そこから自分は生きていることだけでラッキーだと思う反面、死に損ねたという負い目のような感覚に追い詰められて、自傷行為に逃げる日々。恋愛も仕事も含めての生活すべてをなんとなくやりすごしている。だから上手くいっている恋人とも、どこか歯がゆさがあって、恋人の妹と関係をもってしまう。そんな時に恋人が事故で亡くなって...。恋人の妹このみ役が宮崎あおい。幼いながらも挑発的な表情が見えたり、大人びた切ない目をしたり、本当に魅力的な女優さんだと改めて思いました。私は原作を読んでいないので比較することはできないけど、たった24ページのマンガを90分の映画にするというのは、いったいどんな作業なんだろうか。原作よりも長く長くリチオのやりきれない毎日が大小の出来事とともに描かれることで、彼のモヤモヤとした心模様が本当によく理解できるし、自分とちゃんと向きあえない弱さも痛い程わかりました。そういうのって他人の事はちゃんと見えるんだけど、自分の事となるとねぇ、現実から逃げちゃうんですよね。そういうもんです人って。映画の終盤の宮崎あおいの台詞で、この映画を象徴する一言がありました。「でも、苦しいよ、チクチクするんだ」。自分のせいで姉が事故に遭ってしまったのではないかと思う自分と、そんなわけはないと思う自分。私は帰り道、泣いてしまいました。その時は理由が分からなかったけど、きっとこの苦い煮え切らない感情に心当たりがあるからだ。私も逃げている私に向かい合ってしまったんだと思う。


 
「インファナルアフェア無間序曲」(2004/09/20 テーマ:HEAVY)

胃が痛くなるような、凄まじい人間関係の映画を見ました。「インファナルアフェア無間序曲」。アンディ・ラウ&トニー・レオンの共演でアタクシ的久々の大ヒット香港映画「インファナルアフェア」の2作目。待ってました!1を知らない人のためにチラリ復習をすると...。トニー・レオンは、実は警官なんだけどマフィアに潜入させられ、ヒヤヒヤしながら麻薬取り引きの情報を警察に流して10年。そして、実はマフィアなんだけど警官になり、警察の内部情報を流し続けて10年のアンディ・ラウ。ある時、お互いがお互いの組織で身分がバレそうになり、生き地獄度が加速していく。さぁどんな結末が待っているのか?これが前作。で、今回の2作目は、それ以前のお話なんですよね。2人の若い頃にさかのぼるわけです。なぜそんな危険な場所にお互いが身をゆだねることになったのか。もうねー、1作目以上に、どの登場人物も信じられない!全員が腹に一物を抱えてそうです。あぁ胃が痛い。あっちをたてればこっちがたたず。けどどんな裏切りや冷酷さをみせられても、なんかその行動に納得しちゃう。実はこんな歴史や人間関係があったなんて...心苦しいというか人間臭いというか、そりゃぁ仕方ないわって思える。仕方ないけど、うわぁーいこりゃ辛いなぁ。生き地獄だわ。みんなが悪いんだけど、みんな悪くない。この世にホントに悪い人っているのかなぁ?人は生まれながらにして悪なの?みたいなね。そんじゃそこらのチンピラ映画ではないストーリーの深さ。これこそがインファナルアフェアのヒットの理由だと思う。真正面からうけてハマってますよね、あたし。あ、ほんでから、主演の男の子2人(若かりし日のアンディ・ラウ&トニー・レオン)がめちゃかっこいーーー!完結編の3は来年のゴールデンウィーク公開です。時系列にそってではなく、公開順に見るのがおすすめ。DVD出てるようなんで、ちゃんと1をみてから映画館へGOデスよ!


 
「誰も知らない」(2004/08/20 テーマ:COOL)

是枝監督「誰も知らない」見ましたか?そうです、主演の柳楽君がカンヌで最優秀男優賞を日本人初受賞した、あの映画です。素晴らしい映画だと本当に思いました。今回のテーマ「COOL=冷淡、冷静沈着、熱意のない、すばらしい」と辞書には載っていましたが、どれが私が「誰も知らない」に感じた「COOL」でしょう?「出生届が出ていない4人の子供が母親に置き去りにされた」という実際にあった事件が元になっているのを御存じの方なら、「冷淡」だと思うでしょうね。私自身も映画を見るまでは、子供達が可哀想だと思ったり、母親や周りの大人達に怒りを感じたりしていました。だから、映画のチラシのキラキラした写真(川内倫子さんが撮影!)を見て、内容とのギャップを感じたし、落ち込むのが嫌なので何度も試写会を見送ったんです。...でも!驚くことに「怒り」「憐れみ」なんて全く感じませんでした。号泣しましたけど...。監督は事件から15年考え続けてきた中で、怒りが愛情に変わってきたのだそうです。子供達の生活の中に小さな喜びがたくさんあって、それが切なくもあるのですが、不思議な優しさや愛情に似た空気が溢れているんです。母親に対しても(YOUで良かった!)怒りを超えた感情を抱きました。生きるってどういうことだろうかと考えます。生物の本能として生き延びようとしますが、多かれ少なかれ、それだけになっている時が自分にもあるのではないかと。人間という生物として生まれたのならば、人間という生きのばしをしなくては、と思うのです。映画を見て4日経過した私は今こんなふうなこと考えています。たぶん人それぞれ感じ方も、その後何を考えるかも、それぞれ違うと思います。ただ、公開になって「怒り」「憐れみ」だけが取り上げられないことを願います。たくさんの人が真剣に見て、この映画や自分の人生について、じっくり考えて話をしてほしいなぁと思います。本当にCOOL=素晴らしい映画だと思います。


 
「マインドゲーム」(2004/07/20 テーマ:ゴージャス)

夏休みに公開される「マインドゲーム」という映画。話題が多いなぁ。豪華だなぁって思ったんです。まず、2D3D実写が入り交じったアニメ。声優として今田耕司やドンドコぐっさん、藤井隆、島木譲二、坂田利夫らがキャスティングされている。しかも音楽を山本精一が担当。ふふ〜ん。見たい!かーなーり壷を突いた名前が全てにおいて並んでますでしょ?そのへんのアニメとはわけがちがう、飛んでるアニメです。すごいよ。私、興奮してます。ハイスピードで絵のタイプがコロコロかわるし、まるでカーレースゲームのように視点さえも次々かわる。絵の展開の仕方が全方向に向いているんです。臨場感がある。メインシーンじゃないから誤解しないでほしいんだけど、特にエッチしてるシーンがとくに凄かった。行為を描写してるわけじゃなくて、抽象的だったりイメージなんだけどね、すごくその「感覚」を描けてるのですよ。ちゃんとすごく幸せなエッチやったなぁ。「TAMALA」とか「ウェイキングライフ」を見た時も衝撃的だったけど、この映画は、いきなり土井お気に入りランキング上位にランクインです。何がって、やっぱり分かりやすいのが最高。物語は書くときっと意味不明なので敢えて書きません。テーマは「死から蘇ることによって、生の喜びを知る」てとこかしら。けどね、出てくるキャラクターがPOPだし関西弁だし、細かいとこまで低俗、日常。だから押し付けがましくなくて親近感がある。「いろんな人がそれぞれの毎日を生きている、好い人がいればものすごい悪い人もいる、利用されたりひどいめにあわされたりなんやかんやあっても、そのなんやかんやある中に居たい」「色んな人がいて色んな人生が混ざりあって出来ている世の中がおもしろい」てことなんよね。なんでもないような毎日が、実は色々詰まったゴージャスな日々なのかなって思いました。もうちょっとがんばれるかな。明日こそ、ちゃんと起きるぞ。


 
「ラブドガン」(2004/06/20 テーマ:CRAZY)

クレイジーなファンタジー映画が生まれました。「ラブドガン」。両親の無理心中により一人残され、死んだ父の愛人に憎しみを向ける少女・観幸(宮崎あおい)は、幼い頃に両親を殺された天才殺し屋・葉山田(永瀬正敏)と出会います。実は組長を殺して逃亡中だった葉山田は、葉山田の育ての親である凄腕の殺し屋・丸山(岸辺一徳)と、若いチンピラ・種田(新井浩文)に追われていたのです。そして対決の時...。正直、チンピラ映画だと思ってました。それが全然違うの。感情がこもってなければ地金の色。悲しい気持ちで撃った弾は青。憎しみの込められた弾は黒。そして幻の赤い銃弾は、どんな気持ちで撃てば現れるのか...。撃つ人間の感情によって色を変える銃弾が鍵を握る、ロード・オブ・ザ・リングもびっくりの「生と死」「愛」といった普遍的かつ壮大なテーマをかかげる映画です!役者も皆クレイジーでしょ?本気の役者揃いです。表情ひとつひとつがクレイジーともいうべき本物です。永瀬の背負い込んだ過去に苦悩する姿も素晴らしいし、一徳のひょうひょうとした年寄りぶりもたまりません!やるやると噂には聴いていた、宮崎あおいちゃんの自己破壊してしまいそうな精神状態がギリギリの演技や、徐々に現実と向かい合おうとしていく凛とした姿も美しい。でもね、いちばん度胆を抜かれたのは、医者として登場する野村宏伸!私の中では「好青年といえばこの人」みたいなとこがあったわけですよ。で、白衣を着て登場した時は、あぁ当たり役だわな、と思ったんです。それが!クレイジーなんですよ、この医者が。身の毛もよだつとはこのことだと思いました。また、前情報なしに見たんですけど、音楽がね、スリリングでもの哀しくていいんですよ。そしたらdownyの青木ロビンが、新たに結成したバンドDhalによるものだとか!あぁ、そうでしたか、と納得。サウンドトラックに新曲も加えたアルバム「cacophony」も、映画に寄り添うようないいCDですよ。


 
「スクール・オブ・ロック」(2004/05/20 テーマ:センチメンタル)

センチメンタルをテーマに私が選ぶのは、スクール・オブ・ロックという映画。リーゼント群が登場するような不良映画(この私のイメージもどうかと思うが)かと思いきや、とんでもない。ロックコンテストで優勝したいのに突如バンドを首になったうえに勿論社会にも不適合な男が、ひょんなことで小学校の先生になりすまし、こともあろうか、自分のクラスの児童と無理矢理バンドを結成し、コンテストにも出場しちゃうという学園ハートフルドラマです。秀才の子供達を相手に秘密裏に繰り広げられるロックの授業。これが演奏からパフォーマンス、ロックの歴史まで、この学校行きたい!思わず紀伊国屋に願書を買いに行ってしまいそうな内容なんです。子供達の上達していく様や、ロックを体験する事で個性を取り戻して行く姿は、思わず目頭が熱くなるものですね。お子さんのいらっしゃる方は、きっと我が子にオーバーラップさせることでしょう。単身の私としては、子供の頃ピアノ教室でスパルタレッスンを受けながら、なかなか左手が上手くならなくて泣きながら練習した事や、学芸会での出し物の練習の時に、下手すれば仲間外れにされがちの弱虫キャラの子がやたら素晴らしい才能を発揮して人気者になった事や...。あの頃は吸収力もすごかったし、まっすぐだったし、あぁ無邪気なあの頃に帰りたい。あんなひたむきさは、もはや持てないかも。やよいちゃん、とむらくん、わだくん、みんなどうしてるんやろうなぁ。そんなオセンチな気持ちになってはグッとくるわけです。最後のステージのシーンは思わず映画館でもスタンディングオベーション?!実際に子供達が練習をするにあたり、教師として投入されたのはジムオルーク!監督のリチャードリンクレイターはかなりのロックファンで、授業のシーンで黒板に描かれるロック相関図(これが分かりやすい!)は監督自らチョークをとったというのも、作品への愛を感じるトピックスでは?


 
「花とアリス」(2004/04/20 テーマ:Colorful)

3/13公開になった岩井俊二監督作品「花とアリス」、もう見ました?驚いたことに、見終わった後の道すがら、目に飛び込んでくるものが全ていつもより色鮮やかに感じられたんです。屋根の赤、看板の緑、自転車の青、ひとつひとつ確認しながら帰りました。今まで実は本当の色を見れてなかったのかも。目が醒めたようでした。これ、岩井マジックでしょうか?主人公は2人の女の子「花」と「アリス」。ちょっと不思議君な「宮本先輩」をめぐる、嘘から出た真とはよく言ったものだなぁという初恋ストーリーです。また恋だけじゃなくて、アリスとお父さんのエピソードも絡んでくるんですが、思春期に両親が離婚した私にとってグッとくるシーンがいっぱいありました。ヒドイ扱いをしたりもするんですが、基本的にやっぱり父親の子供なんですよね。自分でも分かっているんですよね。でも背伸びしたいんです。わかるなぁ。うまいなぁ。バックに流れるピアノの音色も優しく懐かしく肌に馴染む毛布のようです。音と映像が、柔らかく寄り添っているのです。もちろん映像も素敵です。やはり岩井監督の撮る女学生というのは、非常に瑞々しくて美しく、愛らしくて切ないです。駅のホームでの花とアリス、電車内での花とアリス、桜並木をはしゃぎながら駆ける花とアリス...。キラキラして眩しいです。それからバレエを踊っているシーンがたくさん出てくるんですが、これがたまりません!暗闇でカメラのフラッシュに照らされて浮かび上がる白いクラシック・チュチュとトゥシューズを着た少女達。そのレースとサテン地のキラキラさらさら感、たまりませんねぇ。女学生よ、どうぞこの映画を見て下さい。そして気付いて欲しいです。目、肌、髪、唇、爪の透明感...。そう、お化粧しなくても、いやむしろ、しない方がキレイなんですよ。しかもその色鮮やかな時期は短い。大切に過ごして下さい。おばさんからのお願いでした。


 
「きょうのできごと」(2004/03/20 テーマ:SMART)

「きょうのできごと」って知ってますか?関西が舞台です。関西弁といえば「どたまかちわったろか」的おそろしくギラギラしたものをいまだにイメージされがちな現実が私は非常に悲しいのです。嬉しいなぁ。この「きょうのできごと」に登場する関西弁はとても柔らかく朗らかでスマートで、これぞまさに今の私達の関西弁なのですよ。素敵!と思ったら、この映画の原作は大阪在住の柴崎友香という女性なんですが、登場人物達と近しいお年頃の方。さすがです。言葉使いもリアルだけど、出てくる女の子達の言動があまりにもリアルで素敵です。ストーリーといえば、お引っ越しをした友達の家で集まって飲み会をしてるだけ。飲みが進むうちに色んな会話や色んな酔っ払い方が出てくるんですね。1人の男の子の散髪を酔っぱらった女の子が始めるんだけど、なんでかっていうと「特徴がなくて区別がつかない2人のうちの1人を散髪しちゃえ」...なんて勝手なんでしょう。しかもめちゃくちゃな髪型になってるし。けど「坊主にしたらええやん、流行ってるし」という開き直り。すごい根性です。が、これリアル女子気質ですね。さらにそれをみた男前が切って欲しいと願い出ると、失敗するからちょこっとしか切らないという...。リアル女子です。まぁこれが普通です。そう!全てにおいてこの映画は普通なんです。普通じゃないのは、行定勲監督や、田中麗奈、妻夫木聡などの出演者の技!!!すてきなことって普通の日常の中に潜んでいて、見落としがちなんですよね。なんとなく言いにくい事とか、なんとなく不安な事とか、なんとなく嬉しい事とか、そのなんとなくの積み重ねが実はすごく素敵なんだと思います。でもこの普通を表現するのはすごく難しい!その普通の素敵な日常をこんなふうに切り取ってみせてくれるなんて!しかも大袈裟じゃなく、すっごくスマートに!「きょうのできごと」関西の人も他地区の人も見てみて下さい。


 
「アンテナ」(2004/02/20 テーマ:SEXY)

ここ2・3年ずっと気になっている俳優さんがいます。加瀬亮という人です。ずばり、彼が今イチバンセクシーだと私は思うのです。映画やCMで、ちょっと異様な役所が多くてね。ガリヒョロな体型とか、けっして薄くはない厚みのあるの唇とか、細い指とか、外見的なセクシーさももちろん感じるんだけど、私にとって最も魅力的なのは、彼の物腰です。ゆっくり考えながらじゃないと話せない、言葉を丁寧に探しながら喋る感じ。たぶん何かが足りない人なんだと思います。そういう所すごく好きなんです。で、その加瀬君の新作しかも主演作が出来ました。「アンテナ」。はい、田口ランディ原作です。監督は熊切和嘉。単純に彼の裸もいっぱい出て来て目がハートだったりもしますが、非常に深いお話です。加瀬君演じる祐一郎が持つトラウマをSM嬢のナオミがプレイを通して解放していくというものなんだけど、そのトラウマとなるエピソードやあれこれを真剣に考え出すと、すごく深いのです。自分に跳ね返ってくる部分も多くて、重い気分になるよりむしろ、私は遠くに出口の灯りを見つけた感がありました。エッチな描写の表面だけに捕われないで、真剣に見て欲しいです。根底にあるのは家族の問題です。そこと自分との間に問題が生じると、その問題は自分の中に深く根ざしてしまうのです。なぜなら親兄弟というのは自分では選べないもので、さらに初めての人間関係だから基礎となる部分だと思うのです。土台が歪むと、応用しようとしても歪みっぱなしなわけです。全ての人間関係に歪みが生じるわけです。その、複雑に絡まって何が問題だったのか分からなくなってしまっている加瀬君の心の鉄のカーテンを取り払うのが、この映画ではSMの女王様だったわけです。もしかしたらエッチな行為というのは、カウンセリングのような役割があるのかもしれないなと思いました。えっそんな結論?とにかく見てみて下さい。ひとりで真面目に見て下さい。


 
「ハリウッド的殺人事件」(2004/01/20 テーマ:MELLOW)

まってました!大好きジョシュハートネットの新作登場です!!わーわー!しかも今回はコメディ!って書いたら怒られるかな?「ハリウッド的殺人事件」ロス市警の殺人科の刑事役です。コンビを組む刑事がハリソンフォード!わお!あたくしが小学生の頃に飼いはじめた犬の名前はソロだったんです。スターウォーズのハンソロ船長です。それくらい長年に渡り追い掛けてる俳優さんなのであります。そのハリソン君がジョシュと!ソロ船長って2枚目だけどユーモアがあって素敵な役柄だったと思うんだけど、今回のハリソン君も、なんと不動産業を片手間にやってて、女性占い師の怪しい魅力にメロメロという2枚目〜3枚目の、ちょっとエッチでくたびれてる役。シリアスなのが最近多い中、こりゃ最高です。さらにジョシュは本職はヨガの先生!しかも俳優になりたいと本気で思っている、あくまでも刑事。なんじゃそりゃでしょ?映画の中で何度か出てくる、このジョシュのヨガ教室がたまらなくセクシーでね、いやー行きたい。私、太極拳すぐやめちゃったんだけど、ジョシュのヨガ教室は絶対通い続ける自信がある!授業のあとに個人レッスンとかさ、やるわけよ。ひひーん。家に帰ったら、なんと庭の露天風呂の湯舟で生徒が裸で待ってるわけ!そりゃ待つわ。あたしでも待つわ。いやむしろ、あたしが待つわ。必見ですぜ。そうそう忘れかけてたけど、今回のテーマ「MELLOW」でしたね。ハリソン君のラブのお相手として登場する占い師、MELLOWです。「蜘蛛女」のレナオリンなんだけど、かなり熟してます。怖いのよ、ピンクシーンが!熟しきってんの。ラブシーンが怖いなんて初めてや。全っ然エッチじゃないの。すごいわ。内容はねぇ、あるラッパ−の殺人事件のお話で、捜査の中で色んな汚職とかも出てきたりするんだけど、細かいこと忘れちゃった。ごめりんこ。でもおもしろいよ。新年早々重い映画やでしょ?そんな人にオススメです。これほんと。


 
「エヴァとステファンとすてきな家族」(2003/12/20 テーマ:CUTE)

2003/12/20●テーマ:CUTE
つい最近やっとこさ気づいたんだけど、どうやらあたしは何においても、どこかバランスが崩れたものに惹かれるらしいです。ちょっと歪んでいる人、上手じゃないのに胸に響く歌、とってもCUTEだと思う。1975年のストックホルムが舞台のスウェーデン映画「エヴァとステファンとすてきな家族」は、非常に個性的な人々が登場するキュートなホームムービーです。大げんかの末に2人の子供エヴァとステファンをつれてママが家を出るんですね。で、転がり込んだのが「together」という名のコミューン。色んな思想を持つ人達が1軒のおうちで共同生活をしているんです。やってくる者があれば去っていく者もある。様々な価値観があるけど、結局はみんな同じ人間だし、ひとりじゃ生きていけないし、ひとりだと思っていても1人なんかじゃないんだ...ちょっと待った!言葉におこすと、まるで道徳の時間に見た教育映画のようなテーマ!実際そんな深刻な映画じゃないです(笑)ライトです。とにかく登場人物がキャラ立ちしてるし、笑えるシーンもたくさんあるし、それでいてさっき書いたような事をそっと教えてくれる、素敵な映画です。それと、洋服とか小物とか細かいところまで可愛らしいの。つくづくスウェーデンの子供はCUTEねー。今回「CUTE」をテーマに選ぶと言うので、この映画を見てみたんですよね。それほどビジュアルが可愛いです。んで見てみたら、中身もこりゃええやーとなったわけ。毎号となりのページをぺラッとめくった「cool as a cucumber」を楽しみにしているボーイズ&ガールズは是非とも見てみてくだチャイナ。
つい最近やっとこさ気づいたんだけど、どうやらあたしはどこかバランスが崩れたものを選びがちで、そういうものと上手く付き合っていくのって繊細な作業で難しいけど、とても楽しいのです。


 
「藍色夏恋」(2003/11/20 テーマ:Relax)

誰がそんなことを決めたのかしらないけど「夏=恋愛」らしい。今年はあなたの身の上に色恋沙汰はありましたか?ときめくような事、最近とんと御無沙汰かもなぁ〜。例えば...自分の部屋でお茶を飲みながら、ゆったり過ごす週末。ダーリンと昔のアルバムを見る。思い出話をきいてもらいながら。初恋の人、やっぱりおもいだしちゃうよねー。「藍色夏恋」は初恋の頃を思い出すキュっとしちゃう映画です。主人公は高校生の仲良し女の子2人組と、そのうち1人の女の子が憧れている水泳部の男子。上手く自分の気持ちを伝えられない微妙なお年頃ゆえに、ややこしい関係になってしまうわけです。恋なのかなんなのかよく分からない、こそばゆい気持ち。友達が好きな子を好きになってはいけないし...なんて今じゃ全くありえないけど、当時はそれが暗黙のルールで先に発表したもん勝ちみたいな。懐かしいなぁ。あのころは、なんかもっと色んな事にまっすぐやったなぁ。...てな具合に思わず昔話をしたくなる映画です。台湾とフランスの合作で、憧れの君の役のチェン・ボーリンは83年生まれ、台湾のキムタクと言われている俳優さんで、かなりの爽やか好印象ボーイです。「恋する惑星」の頃の金城武にどことなく雰囲気が似ているような気がします。あと、この映画に関してはイメージサントラ「藍色夏恋the album」も良いです。映画で使われていない曲もたくさん収録されているんだけど、ドッジ−なんて入ってるんですよ!キラキラしすぎてまぶしくってCDききながら目を細めてしまいそう。クラムボンの郁子ちゃんの初ソロ音源もすがすがしくて素敵です。どの曲も映画の中で私を切なくさせるアイテムの1つとして重要な位置にある<自転車>を連想させます。そう、自転車も夏もむやみやたらと切ないキーワードです。あたしだけかな?そんなことはないはず。しかし、リラックスして回想して切なくなるとは...もう若くない証拠かも(涙)


 
「インファナル・アフェア」(2003/10/20 テーマ:WILD)

2003/10/20●テーマ:WILD
WILDと聞いて、まっさきに頭に浮かんだのは、香港の俳優トニーレオン。懐かしい?「欲望の翼」の頃の若くギラギラした彼もさることながら、新作「インファナル・アフェア」での実年だからこその哀愁ただようワイルドさ!たまりません。また共演のアンディラウもシュッとした清潔なワイルドさがあっていいー!ストーリーもおもしろい。ずばりテーマは「生き地獄」。2人が歌っているエンディングテーマがこの映画の主題そのまんまなんで最後の最後に腰抜けます。気をつけて!でもホントにいい映画なんですよ。ハリウッドでリメイク(しかもブラピ!)の話がでるくらいだもん。トニーレオンは、実は警官なんだけどマフィアに潜入させられ、ヒヤヒヤしながら麻薬取り引きの情報を警察に流して10年。そして、実はマフィアなんだけど警官になり、警察の内部情報を流し続けて10年のアンディラウ。ある時、お互いがお互いの組織で身分がバレそうになるんですね。そこから生き地獄度が加速していくわけです。殺しあいのシーンはあるんだけど、ないんです。事実だけがあって、人が殺されるシーンが映されない。余計に想像力がかきたてられてワイルドな映画です。私悩んでたんです、アンディラウとトニーレオン、どっちがワイルドかって。トニーレオンは喜怒哀楽が表面に出ていて、情けない発言もあるのね。反対にアンディラウは一見クールに見える。トニーレオンが織田裕二なら、アンディラウは柳葉敏郎、みたいなね。でも、アンディラウは、エリートの道を進むうちに、その現実を手放したくなくなるわけです。マフィアになんて戻れない!でもボスが...。いかにも人間らしい野蛮さを持ってます。そう考えるとアンディラウのほうがワイルドだと言えるかも知れません。出世する人ていうのは良い意味で野蛮なんですよ、きっと。(実際は、香港フィルムアワードで、アンディラウはトニーレオンに最優秀主演男優賞を譲ったんですってよ。)


 
「8人の女たち」(2003/09/20 テーマ:SWEET)

2003/9/20
●テーマ:SWEET
先月号で御挨拶がてらライトなエロコラムを書いてしまいました、土井コマキです。今回のテーマはSWEETですって?甘いもん大好き。映画を見ていてもデザート系が出てくると、ひとくち食べたくなるんですよね。ツインピークスのチェリーパイしかり、アメリ(おっとキャッチ−!)のクレームブリュレしかり。アマデウスでモーツァルトをライバル視しているサリエリの家で登場する白いお菓子がめちゃうまそう!分かりにくい?いまだにあれがなんだったのか分からないけど、とにかく高級なお菓子として登場するんです。ぺろり。さて、こんな私がケーキバイキングに無性に行きたくなった映画があります。アンリシャルパンティエでコラボSWEETSも販売されてましたね「8人の女たち」です。舞台は1950年代のフランス。ある朝、雪に閉ざされたお屋敷で殺人事件発生、集まっていたおばあちゃんからメイドまで8人の女がお互いに疑い始めるという話です。8人の女=8人のフランスの大女優(カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベ ア−ル他)が、それぞれ色んなキャラの女性を演じていて、8種類のケーキみたいなんです!次々に秘密が暴露されていくんですが、まるで世界の女事情の縮図を見ているかの様です。色んな人生があります、女には。なんてね。突然始まる歌と踊りのシーンもおもしろい!「歌パートは必要無い」て批判してる人もいるけど、そんなのギャグのない吉本新喜劇みたいなもんです。冗談みたいなスポットライトとか、違和感があたしは大好き。映画というより舞台を見てる感じかな。衣装もセットもかわいいですよ!アメリ好きならこちらも。
ケーキバイキングみたいに、とっかえひっかえフランスの大女優を味わう。けっこうどれもこれも濃厚なケーキです。でも癖になります。お召し上がり下さいまし、シルブプレ。(実際登場するSWEETSといえば、ラスクかなんかくらいなんですけどね。)


 
「恋する40days」(2003/08/20 テーマ:POP)

2003/8/20 テーマ「POP」
コンニチワ。初めましての人も多いと思います。土井コマキといいます。fm802でDJをやっております。映画のコラムだなんて、実は恐縮しております。だってね「タイタニック」は見ないと心に決め、「雨あがる」で号泣し、2003年7月18日現在、最も見たいのは「えびボクサー」なんていう人間なんですよ。いったいどこまで受け入れられるのか謎ですが、編集部の人に怒られない程度に、土井センサーにひっかかった映画とその周辺(?)の話をしていこうと思います。
最近のヒットはジョシュハートネットの「恋する40days」!!これかなりお勧めですよ。ジョシュが、失恋から立ち直るために40日セックスも自慰行為も我慢するという話なんだけど、それを周りが賭けのネタにして、あれやこれやと横やりを入れるわけです。最後の日なんてジョシュだってたまらないわけで、てんやわんやの大騒ぎ。かなりPOPですよ。とにかくジョシュの久々のB級アホ映画だと思って胸踊らせて見てみたんだけど、意外にちゃんと恋愛映画で、エリカって女の子も可愛らしい。カメラワークなんかもアホっぽく凝ってて面白いです。男の子はもちろん女の子も、友達とわいわい見たら恋愛〜Hの体験談告白タイムみたいになって楽しいんじゃないかしら?もちろんポロリ(どころか裸体裸体裸体...)あり。こういう映画を子供と一緒に見れるような家族を築きたいもんですな。「湯けむり旅情OL殺人事件」みたいな2時間ワイドのドラマに30分に1回くらいの頻度で出てくるピンクシーンに咳払いをしてチャンネルかえてる場合じゃないです。大学進学で都会に旅立つ息子にはコンドームのBOXセットを贈るぐらいのPOPな母親になりたいです。ともかく「ジョシュどうしてパールハーバーなんかに出ちゃったの?ヴァージン・スーサイズは良かったのに〜」という人は絶対見て!
てな感じで「うたたねシアター」来月号からなんとなく始動です。よろんこ。


 
● もくじ
うたたねシアター
旧・ぶつぶつ日記
想う壺
旅の記憶