うたたねシアター

「待合室」(2006/11/20 テーマ:マジック)

「待合室」という映画を見ました。舞台は東北の過疎がすすむ寒村。そこに全国各地から旅人が立ち寄る駅があります。その駅の待合室にはノートがおかれていて、抱えている悩みや苦しみを書き残してゆく者も少なくない。そしてその書き込みに、励ましの返事を書き続けているおばさんがいるというのです。しかも実際に新聞に掲載されたエピソードがもとになっているらしい。うわー。寒い!さらにノートの表紙には「命のノート」の文字。重い!一杯のかけそば系。一番私が苦手な類いです。『どんなに辛い事があっても一生懸命に生きて下さい。いつか必ずいいことがありますから』なんて言われた日には勘弁してくれと思ってしまいがちなのですが...。が、これが、感動の嵐でして、泣いてる自分にびっくりしました!すごくリアルなんですよ。私と同じように、このおばさんの書く返事を嘘くさいと思って反抗する女の子も、ちゃんと出てくるんですよね。しかも最後までこの子は全部信じきれることなく終わるんです。でもそれでいいんだよと、分かる時に分かればいいのだと、そういう終わり方ってとても本当だと思いませんか?あと、市川実和子が都会から来た新聞記者の役で出てくるんですけど、あの都会な雰囲気がとてもリアルでした。「なんにもないからこそ、何度も足を運ぶ場所」と新聞記者は分析するのですが、なるほど〜と大きくうなずきました。そういうところに行くと、自分の輪郭がハッキリするんですよね。この待合室みたいな場所、みんな持ってるかもしれないですよね。私の場合は場所じゃなくて耳栓。ヘッドフォンで外の音を遮断して音楽を聴くのと同じ感覚で、大袈裟に言うと自分と対話するために耳栓をするんです。そしてもう1つ印象的に登場するのが「おむすび」なんですよ。かもめ食堂でも出てきたけど、やっぱりおむすびって日本人のソウルフードなんですよね。おむすびマジックがここでもバッチリ描かれています!