うたたねシアター

「ニワトリはハダシだ」(2005/01/20 テーマ:WILD)

今号はWILD=「野生のまま」がテーマなんですが、「ニワトリはハダシだ」という、なんとも気になるタイトルの映画を見ました。主人公の重い知的障害をもつ15歳の少年サムは、偶然警察の汚職事件に巻き込まれてしまいます。サムを犯人に仕立てようとする事件関係者たち。もちろん一緒に暮らす父、在日韓国人の母、養護学校の先生が体を張ってサムを守ろうとします。その中で浮き彫りになる家族愛・・・。どんなシリアスな映画やねん、重いわ〜でしょ?たしかにテーマは重くまさに学校で見る映画です。でもテンポがよくて気持ちよくて、事件解決にザマァミロな気持ち。それと養護学校の教師役の肘井美佳、新米刑事役の加瀬亮(♥)がとってもすがすがしい!もちろん原田芳雄、倍賞美津子、石橋蓮司、岸部一徳、笑福亭松之助なベテラン勢あっての若手が引き立つわけですが。主人公のサムと妹のチャルもまた天真爛漫で愛くるしいです。びっくりするくらい自然。で、タイトルの「ニワトリはハダシだ」って何?って話なんですが、ことわざ辞典には「わかりきったことのたとえ」とあるそうなんですが、庶民感情を表現する言葉として地域によって微妙なニュアンスの違いがあるんですって。映画の中ではサムの父が在日韓国人の母に、国籍なんか関係ないさって意味で、プロポーズの言葉として言うんです。生まれてきた時はみんな同じ。だったら大人になったってみんな同じはずなのに。山積みの社会問題は、きっと根本的に解決することなんて出来ないんじゃないかって思います。それもわかりきったこと=「ニワトリはハダシ」ですよね。ただ、分かったうえで問題と向かい合っていくことが必要なんですね。こういう難しいテーマの映画って、大人になって見ると感じる事も違うものですね。たまにはええんちゃう?